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Weps うち明け話
#359
得失点差
■まず11−0で勝てば…

「残り、レッズが全勝して広島が全敗すれば可能性あるんすか?」
「うん。だけど今度の直接対決で11点差で勝っておかないといけない。そうすれば、あとは1点差の2勝と1点差の2敗で引っくり返る」

  UAEでの「AFC U−19選手権」から帰ってきたばかりの矢島慎也と交わした会話だ。仙台まで含めると面倒だからパスした。
 3節連続で得失点差を8ずつ埋めていく(それでも総得点で足りないが)よりも、その方が可能性があるような気がしたのでそう説明したが、どっちにしても数字上の可能性だ。残念ながら矢島が中東で戦っている間に、レッズの今季の優勝は実質的になくなった。4点取って3点取りかえされた鳥栖戦や、5点も取られて1点も取れなかったG大阪戦がうらめしい。鳥栖戦が4−0で、G大阪戦がせめて1点差だったら、広島との得失点差は16になっていた。そうすれば、直接対決を5−0で勝てば、残り6差は2勝と2敗で逆転は十分可能になっていた。

 去年は逆に得失点差で助かった。33節を終えレッズは勝点36で甲府は33。最終節で並ばれる可能性はあるが、得失点差14が1試合で引っくり返る可能性はまずない。直接対決ならひょっとすると、ということはあるが。
 だから福岡に逆転勝ちして「実質残留」という安堵感が流れ、その夜は美酒に酔ったとは言えないが、苦い酒にならずに済んだのだ。
 結局、甲府は最終節で大宮に敗れたので(レッズも柏に負け)、勝点3差のままで残留と降格に分かれたが、もし甲府が勝てばいいとか3点差なら可能性が高いとかいう状況だったら、甲府のモチベーションは違っていただろうから、NACK5スタジアムの結果はどうなっていたか、わからない。

 サッカーのようにリーグ戦の試合数が少なく勝点だけでは差がつきにくい競技では、順位を決めるのに得失点差という物差しは必要だろう。また大量点が入りにくいサッカーだから、得失点差は勝点の次に優劣を決める要素として妥当だろう。

■ところで「成績上位」というやつだが

 だが、それも同じグループ内の順位を決める物差しだから公平に思えるのだが、違うグループのチーム同士で順位を決めるのに、得失点差という物差しを使うのは公平さを欠くと思う。
 たとえば日本クラブユース選手権(U−18)には、全国から24チームが参加して、4チームが6グループに分かれて予選リーグを行う。決勝トーナメントに進むのは8チームだけなので、各グループの1位チーム計6チームと、各グループの2位チームのうち成績上位2チームが進む、という規定だ。
 また一昨年まで行われていた高円宮杯全日本ユース(U−18)選手権は、同じ24チームによる大会だったが、決勝トーナメントはベスト16から行われるので、各グループ上位2チーム計12チームと、各グループの3位チームのうち成績上位4チームが予選を通過することになっている。

■力の差がありすぎると公平さを欠く

 この「○位のチームのうち成績上位○チーム」というやつが曲者だと思う。そもそも違うグループのチームの成績を比較するということに少し無理があるのに、そこに優劣をつけるのにも得失点差を用いるのはいかがなものか。
 AはBに3−0で勝った、CはBに2−0で勝った。ならば同じ勝ちでもAの方がCより少し上、というのはわかる。
 しかし、AはBに3−0で勝った、CはDに2−0で勝った。しかし相手が違うのだから、即座にAの方がCより上ということにはならないはずだ。

 身近な例で、つい先日こういうことがあった。
 JユースカップJリーグユース選手権。J1・J2各クラブの高校年代40チームが参加し、4チームずつ10グループに分かれて予選リーグを行った。各グループ上位2チームが決勝トーナメントに進むのだが、決勝トーナメントからJクラブ以外から4チームが参加し、24チームとなる。
 24チームでトーナメントの山はきれいに作れない。まず1回戦が16チームだけで行われる。8チームは1回戦シードで2回戦からの出場となる。その8チームは各グループ1位チームのうち、成績上位8チームだ。
 レッズはCグループで1位になった。2勝1分けで勝点7の1位だから、3勝で勝点9の1位よりは成績が劣る。勝点9の1位は6チームあり、勝点7の1位がレッズを含め3チーム、あと1チームは勝点6の1位だった。
 レッズは得失点差+3。勝った2試合が3−1と1−0だった。それほど良い得失点差ではないので、比較すると劣るだろうな、と思っていたが、比較の必要もないほどだった。あるチームの得失点差は+15、もう一つのチームは+12。
 全部の星取り表を見ると、10点差以上のついた試合が5試合あった。そういう試合が絡むと得失点差がとんでもない数字になる。

 Jクラブの育成チームは戦力に差がある。もちろん大会には参加した方がいい。しかし戦力にかなりの差があることはわかっていたはずで、なのに違うグループのチームの成績を比較して優劣を決めるレギュレーションはどうだったのだろう、と思う。たとえば、もっとも大量点差のついた試合を除外して比較する、という方法もあるし、単純に1位チームの中で抽選して1回戦から出場する2チームを決める、という手もあった。

 ユースチームの試合が多いことは悪いことではないので、レッズユースがJユースカップの1回戦から出場することに文句を言うのではない。一定のレベルに達したチームばかりの中でならともかく、力の差のある中での「成績比較上位」という考え方に異議を唱えているのだ。

■こちらは得失点差で優位

 ところで同じレッズユースの話だが、もう一つの大会、高円宮杯U−18プレミアリーグでも、得失点差が絡んで来そうだ。
 全18試合の日程のうち、2試合を残して中断しているのだが、レッズは現在勝点13で10チーム中9位。下位2チームは来季プリンスリーグ1部に降格となるので、レッズは崖っぷちにあると言っていい。
 順位の入れ替えを目指すべく上を見ると、勝点19のチームが3つある。つまりレッズが残り2試合連勝、件のチームのどれかが2敗すれば勝点19で並ぶのだ。
 そして問題の得失点だが、レッズは現在−9。そして3チームは上から−7、−10、−10となっている。つまり2勝と2敗なら、勝点で並び得失点差ではレッズが上回るのだ。順位が下なのに、得失点差がそれほど悪くないのは、16試合中引き分けが7つもあるからだろう。まるで去年のトップチームみたいだ。おまけに6−6のドローなんて試合もあり、総得点は4位タイの32点と上位の方だ。
 レッズユースにとって今年は厳しいシーズンになったが、残りの2試合に勝てばプレミアリーグ残留、というこの状況は光明だ。しかも11点差で勝つ必要はない。1点差でもいいのだ。
 12月2日(日)、9日(日)の2試合、意地を見せて欲しい。
(2012年11月15日)
EXTRA
 レッズユースの6−6のドローというのは、8月26日にアウェイで行われた静岡学園戦。後半37分に2−6という大量リードを許してしまったのだが、その後アディショナルタイムを含め13分で4点を奪い引き分けた。当時は、「あと1点取れていれば勝点3だったのに」と悔やんだが、このときの勝点1と追い上げた4得点がいま非常に利いているというわけだ。

(2012年11月15日)
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