Weps うち明け話 文:清尾 淳

#947

練習試合・沖縄SV戦

 沖縄から、その1(2か?)。

 1月23日(火)、今季初めての対外試合となる、地元の沖縄SVとの練習試合は、30分ハーフの試合を、メンバーを替えて2試合という形で行われた。

 1試合目はGKに福島、DFは右から橋岡、岩波、マウリシオ、宇賀神、アンカーに青木を置いて直輝と柴戸がインサイドハーフ、サイドハーフは右にユースの長倉幹樹、左に武藤、ワントップに李という顔ぶれ。
 始動して10日目で疲れもあっただろうが、逆に身体もだいぶ良く動いていたのは前日の紅白戦でも確認できた。一次キャンプでの練習試合は、疲労の中でもどこまで試合で必要な動きができるか、というのが目的の1つだから、チームとしての動きより個人のプレーに注目していた。

 僕が感じたのは、青木がかなり精力的にボールに絡んでいたことだ。昨季の後半、4バックの前にボランチを1人置くシステムになってから、青木がここを務め阿部がセンターバックに回るようになった。ボランチ候補が少なくないレッズだが「このポジションは渡さん」という気迫を感じる動きだった(写真1)。やっぱり結婚も良い影響を及ぼしているのだろうか。

 インサイドハーフの2人は共に新加入(直輝はレンタルバックだが)。柴戸は昨年途中に負ったケガを感じさせない動きでボールを追っており安心した(写真2)。直輝は以前と変わらず「水を運ぶ選手」ぶりを見せており、試合終盤までトップスピードで走っていた(写真3)。「60分なら全く問題ない。90分やり切れると思う」と試合後に述べていた。

 前半はゴールがなく、今季対外試合初ゴールはレッズユースの長倉。後半20分、武藤の左クロスに対して右からゴール前に入り込み、身体をひねるようにしてボレーシュートを決めた(写真4)。橋岡や荻原と同期の長倉は順天堂大に進学するそうだが、そこでの活躍と将来が楽しみだ。

 ピンチらしいピンチがほとんどなかった1試合目だったが、後半18分に決定的な場面を作られた。沖縄SVの選手がフリーでレッズゴール前に抜け出したのだ。失点を覚悟したが、福島が右手と右脚を伸ばしてわずかにコースを変えた(写真5)。「練習どおり、先に動かないように我慢できた」と語る福島。一昨年の大きなケガから復帰のシーズンでもあった昨季は、西川、榎本、岩舘に次ぐ存在だったが、榎本、岩舘がケガで離脱している今は自分にとって練習試合などでアピールする機会であり、それを生かした。ポジション争いの激しいチームにあって、序列が固定していた感のあるGK陣の関係にも変化が生まれるかもしれない。

 2試合目はGK西川、DF平川、阿部、槙野、菊池、アンカー遠藤、二列目は練習生(大学生)、武富、長澤、荻原、トップにズラタン。
 まず荻原が見せた。前半6分、菊池が縦に出したパスは相手DFにカットされたかに見えたが、スピードで追いついた荻原が奪い取ると、そのまま中に切れ込み、GKをよく見てシュート。今季の対外試合プロの初ゴールは荻原ということになった。荻原は後半27分にも、やはり菊池からボールを受けるとDFを2人かわして(写真6)左クロス。「あそこで思い切り振るとああいうボールが行くことはわかっていた」(荻原)と言うとおり、中央を走ってきたズラタンの頭にピタリと合ったボールがネットに吸い込まれた(写真7)。決めたズラタンは「クロスが素晴しかったので合わせるのは非常に簡単だった。今季は、ああいうボールがたくさん来ることを期待しているよ」と笑った後で、「彼(荻原)はまだ若いからあまりプレッシャーをかけないでやって欲しい」と僕に釘を刺したのだが、当の荻原は「プレッシャー?全然ないです(笑)」とこの日取材陣に囲まれても臆することなく受け答えしていた。

 もう1人、注目していたのは荻原とは真反対、チーム最年長であり最古参の平川(写真8)。どこで一番シーズンインを感じるか、という質問に「フィジカルトレーニングで倒れそうになったとき」と答えた後、「またこのきつい練習をやれる喜びを感じている」と17シーズン目の意欲を語った。近年、出番は減っているが、出場したときには堅実なプレーを見せてくれるのは昨季も示した。

 あと3日間練習した後は、札幌との練習試合が26日に予定されている。

EXTRA
 荻原は"両利き"らしい。手も足もパワーを使う方は左、細かい正確な動きは右の方が得意だということだ。ちなみに現在神戸にいる高橋峻希は箸を持ったり字を書いたりするのは左手で、足は右の方が得意だった気がする。
 この時間になっても練習変更の連絡がないので、試合の翌日だが普通に午前、午後の練習をやるのだろう。フィジカルが中心の一次キャンプだし、60分の試合だったのだから、それでも不思議はないか。

写真1

※写真1:①早くから良い汗をかいていた青木

写真2

※写真2:②大卒ルーキーの柴戸。昨年のケガは問題なさそうだ

写真3

※写真3:③直輝らしいハードなフィジカルコンタクトも見せていた

写真4

※写真4:④レッズユース3年の長倉。きれいなゴールを決めた

写真5

※写真5:⑤相手のシュートを弾く福島。試合への絡みを目指す

写真6

※写真6:⑥ルーキーの荻原は、相手DFを抜き去り、トップスピードのままクロスを上げる

写真7

※写真7:⑦荻原の左クロスからヘディングシュートを決めたズラタン

写真8

※写真8:⑧その振る舞いが選手たちに良い影響を与えている17年目の平川

(2018年1月24日)

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