Weps うち明け話 文:清尾 淳

#978

2018年その3・終わり良くても来季は不明

 今季の浦和レッズを振り返る、その3は、十大ニュースのうち、

「ラファエル・シルバがチーム始動後に移籍」

「遠藤航が移籍」

「新加入のファブリシオ、ゴールを量産もケガで離脱」

「平川忠亮が引退」

「FC東京に埼スタで連続14試合連続不敗」

「リーグ優勝した川崎Fに2試合完封勝ち」

「湘南に11年ぶり黒星(しかも2敗)」

 を織り込んで考えてみたい。


 まず今季は移籍や長期のケガなどによる選手の離脱が響いた年だった。ケガで1か月以上離脱した選手を思い出すと、ファブリシオ、平川、長澤、直輝、ナバウト、ズラタン、岩舘、榎本、柴戸、菊池、森脇の11人。そして移籍でいなくなったのがラファエル・シルバと遠藤航。

 好事魔多し、というが、ファブリシオは加入即ゴール量産に入ったところでケガ。平川も久しぶりの先発出場のあとケガ。直輝は天皇杯YS横浜戦でゴールを決めたあとの練習でケガ.ナバウトは川崎F戦で興梠のゴールをアシストして、さあ本人もというときにその試合でケガ。ズラタンは今季比較的早くに(第3節)でゴールを決めたがその後ケガ。森脇はキャンプからケガしては復帰し、そこでケガ。遠藤は置き土産のように名古屋戦でゴールを2発決め、その後移籍。


 何と1チーム分の人数がシーズン中にチームを離れたわけで、「これで、どうせいっちゅうねん!」と言いたくなるようなありさまだった。

 西川、岩波、マウリシオ、槙野、青木、柏木、阿部、宇賀神、橋岡、興梠、武藤ら先発の核をなす選手たちが長期離脱しなかったのは幸いだが、代わりのいない状態が長かったということで、シーズンの終盤にはどの選手もかなり痛みをこらえていたはずだ。

 そういう選手のやりくりが難しい状況で、よくリーグ戦は踏ん張れたと思う。目標の3位には届かなかったが、それを狙える順位から終盤まで落ちなかったのだから「踏ん張れた」と言っていいだろう。


 今季ほどケガの多いシーズンは滅多にないかもしれないが、一度経験したことは可能性を視野に入れておくべきだ。そして次もうまくいくとは限らない。

 ましてや、どの選手も1歳ずつ歳を取る。今季は平川が引退したが、あれだけ身体の手入れなどに気を遣う選手でも、年齢を重ねると無理が利かなくなるのか、と思う。レッズにきょう(12月23日)現在、籍がある選手のうち30歳以上、あるいは来年30歳を迎える選手は12人だ。30歳になったからといって急に何かが衰えるわけでもないが、2年後、3年後を見通せば、今から手当てをしておくことが必要だし、その年代の選手がチームの3分の1以上、半分近いというのは特別な対策が必要だろう。10年ほど前に、僕より10歳ぐらい上の「団塊の世代」がいっせいに定年を迎えた時期があって、その少し前に社会や国の対応が迫られたことがあったが、それと似ている。

 今のレッズはシーズン途中で監督が替わってもタイトルを獲れるだけの成熟度があると言えるが、それは長く同じメンバーでやってきた経験の賜物でもある。経験があるということは年齢もそれだけ高いということだ。


 今季の後半戦は、#977でも書いたように、尻上がりに良くなってきた。リーグ優勝した川崎Fに2試合完封勝ちしたのはたしかレッズだけだ。5位が懸かったFC東京戦も、埼スタでの連続負けなしを14試合に伸ばした。

 だが一方で、湘南には2敗しているし、G大阪と名古屋戦は内容も結果も厳しいものだった。#977で書いた、良くなってきた中での集大成としての天皇杯優勝、というのは今季だけのこと。来季の何かを保障するものではない。いや、今季の最後が良かっただけに、それを続けていくためにはは、いっそうの強化が必要だ。


 移籍加入の情報が聞こえてくる。いずれも現有勢力の競争相手としてふさわしい選手たちだと思うが、今いる選手たちより上か、と聞かれると「Yes」と答えるだけの材料は僕にはない。僕が知らないだけだったら、その選手たちにも読者にも申し訳ないが。


 大物選手を獲るだけが強化策ではないことは百も承知だが、来年はACLを並行して戦わなければいけないだけに、十分な準備が必要だ。

(2018年12月25日)

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