Weps うち明け話 文:清尾 淳

#981

キャプション

 最近は、トップチームの試合では撮影から外れているので、キャンプ中が一年で最も多くカメラを持つ期間になる。


 たしかグァムキャンプだったから2008年だと思うが、ある雑誌の編集長が本格的な装備で写真を撮っていたので、カメラマン出身の編集長なのかと思ったら、「違うんですよ。カメラマンに撮らせたら、編集意図に合わない写真しかなかったので『もういい、俺が自分で撮る』って言って自分でやるようになったんです」と教えてくれた。

 その気持ちはよくわかる。


MDPの写真を自分で撮るようになった経緯は、清風庵のホームページに書いた。その編集長と似ている部分もある。https://note.mu/saywhoand/n/n09302ff341ad


 そして編集者が写真を撮ることで得られる副産物もある。

 締切が近いときなどは、撮りながら「あのページに使うのはこれとこれ」「あのページ用の写真がまだ撮れてないぞ」と頭の中で計算しながら撮るから、試合後の写真選択がスムーズなのだ。また「あ、この写真はこういうページに使えるな」とか「この写真を使うために、こういうコーナーを作るか」など、新しいアイデアが浮かぶこともある。


 これはMDPで使えるかもしれない、という写真を撮ったときキャプションが浮かぶ。キャプションというのは「○月×日、Jリーグ第△節~戦、前半10分、興梠慎三がヘッドで今季20点目を決める」というふうに、その写真の状況を説明するものが多いが、そうでないものもある。たとえば柏木が練習で必死の形相を見せている写真があるとして、それに「キャプテンとして2季目のシーズンを迎えた柏木は、先頭に立って厳しい練習に取り組んでいる」と付ければ、見る人は納得するだろう。また「キャンプ前は『オリヴェイラ監督のトレーニング(の厳しさ)を考えると憂鬱』と語っていた柏木、実際に味わった感想はどうか」というキャプションもあり得る。


 写真キャプションは、それ自体が記事であり、どういうキャプションを付けるかによって、読者に伝わるものが変わってくる。

 現在、沖縄一次キャンプでも写真をいっぱい撮っているのは、今季もしかしたらMDPに使うかもしれないからだ、撮りながらキャプションを考えることが多い。新加入選手でも、ベテランでも、新人でも、練習生でも。ランニングでも、ストレッチでも、ボール回しでも、ゲームでも。どんな写真にもキャプションが浮かんで来るのは、「やっぱ27年レッズを見てきたからだよな」と珍しく自分を褒めたくなる特性の一つなのだ。

(2019年1月25日)

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