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Weps うち明け話 #993
最初で最後のインタビュー(2019年12月3日)
MDPにほぼ毎回、選手のインタビューが掲載される。1ページに何人か載っているものではなくて、1人で2ページ使用するもので、MDPの中ではロングインタビューと言えるものだ。取材時間も、よほど時間がないときで15分、長ければ30分、ときには40分ぐらいかかることもある。
このページは昔から試合に出ている選手を対象にしている。MDPそのものが「今日の試合」を応援するためのツールであることを基本としているので、試合に出ていない選手からそういう話を引き出すのがなかなか難しいということがある(僕の技量不足もあるが)。
そういうことで、試合に出ていない選手がMDPに登場するのは「about him」という、特定の選手について数人から語ってもらう企画や、開幕戦や最終戦に際し、全員から少しずつ抱負や総括的な話を聞くときぐらいだ(毎回あるとは限らない)。MDPで多くの選手のことを紹介したいが、先ほどのMDPのそもそもの役割やページ数の関係で、誌面に登場する量は均一にはなっていない。
先日、岩舘直のロングインタビューを初めて行った。
岩舘は2014年の6月、山岸範宏が山形に移籍し、GKが西川周作と加藤順大の2人になってしまう事態になったとき、水戸から期限付き移籍でレッズに来てもらった。当初、半年の契約だったが、翌年1年間延長され、さらに2016年からは完全移籍になった。
5年半で公式戦のベンチ入りが15試合。出場は一度もなかった。先ほどの慣例からするとMDPのロングインタビューを行わなかったのも仕方がないと思うが、今季でレッズとの契約が満了になるにあたり、最終号(12月7日・G大阪戦)のMDPに岩舘のロングインタビューを載せることになったのだ。
過去、5年半レッズに在籍して一度も公式戦出場がなかったのは岩舘が初めてだ。
いや、逆に言うべきか。
一度も公式戦出場がなかったにもかかわらず、5年半の間レッズが必要とした選手は岩舘が初めてだ。
その背景はなんだったのか。
試合出場だけがクラブ・チームへの貢献ではないとは思っているが、それが事実だということを、彼への30数分間の取材を終えてあらためて認識した。
MDPに掲載される前にここに書くわけにはいかない。でも、チームを離れていく選手だから、という感傷的な気持ちを抜きにしても、ぜひ多くの人に読んで欲しい。
映画の予告編みたいだが、ご容赦。
(文:清尾 淳)