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Weps うち明け話 #1008

だから言ったでしょ(2020年3月3日) 

 

 練習が再開された3月1日(日)にも感じたことだが、今日も練習内で行われる紅白戦がかなり激しかった。ケガほどではないにせよ、途中で痛んだ選手も少なくなかった。

 公式戦はまだ2試合しか行われておらず、その2試合とも先発した選手、どちらかに先発した選手、メンバーに入って途中出場した選手、メンバー外だった選手…。少し今季の軸になるメンバーが見えたかな、というところでこの中断だ。

 

 再開する試合では自分が先発になる!

 スタートラインから見て自分がどこに立っているかが少し明らかになった今だからこそ、ある意味でその思いは開幕前のキャンプより強くなるのかもしれない。

 

 2月26日から29日までの4日間はオフだったわけだが、その間、どこで動いていたのだろう、というくらいに選手たちの動きは再開初日から良かった。これは今季の始動直後の練習でも感じたことだ(僕は始動の翌日、8日が初取材だったが)。かつては、始動日にいかにも身体が重そうだな、という選手が2~3人はいたものだったが、これが昨今の風潮なのか、今の浦和レッズの常識なのか。

 

 予想もしていなかった、キャンプの追加と言ってもいいこの期間。しかも練習試合ではない、公式戦2試合を挟んでいる。やってきたことへの手ごたえと、2試合とも2失点というはっきりした課題をつかんで行われている“三次キャンプ”が、レッズにどういう変化をもたらすか、楽しみでならない。

 

 さて。

 

 いまさら、こんなことを書いても、後出しじゃんけんにしか思われないだろうけど、1月31日の#1005「沖縄キャンプがあなたを誘う」のあとは、「彼に期待する理由」(#1002~#1003)の続きを書くはずだった。

 が、2月16日からの15日間で3回発行するMDPの準備に追われ、延ばし延ばしになってしまった。まるで今季僕が期待しているのは伊藤涼太郎と武富孝介とマルティノスだけ、みたいに言っている印象だが、そうではない。

 キャンプ中にいろんな人と電話やメールでやり取りしたのが、「今年の新加入選手は少ないけど、戦力アップは相当ありそうだよ」と言うことだった。

 一昨年加入のマルティノスについてはすでに述べたが、昨年移籍により加入した4選手のうち、鈴木大輔は終盤先発定着しても、山中亮輔、杉本健勇、汰木康也の3人も、前所属チームで見せていた活躍をできないでいた。その理由が全部システムのせいだとは思わないが、4-4-2になった今季のキャンプでその3人が生き生きと、水を得た魚のようにプレーしていたのは事実だ。

 マルティノスに加えて、山中、杉本、汰木がそれぞれのポテンシャルを100パーセント発揮すれば、レッズの「2020シーズンの補強満足度」はEクラスでも、「昨年からの戦力アップ度」はAクラスなのではないか、とキャンプ中に思っていた。もちろんゴールランキングの“3階級制覇”を狙うレオナルドも加えてだ。

 順番に3人を取り上げていれば、後出しじゃんけんにはならなかったが、このコラムに書けなかったので、MDPの開幕号(2月16日・ルヴァンカップ仙台戦)の編集後記には書いた。

 そしたら仙台戦で、杉本が2得点にマルティノスが1得点。汰木と山中がゴールに絡んだのだった。

 

 試合のあと、僕はひとり記者席で「だから言ったでしょ」とつぶやいていたのだが、本当にこのコラムでも彼らについて書いておけば、仙台戦のあと、そういうタイトルで1本書けたはずだ。

 1月の下旬、山中たちのことを書こうと思ったとき、2月に予定されている練習試合を見てからの方がいい、と思い直してストップを掛けたのだった。「2月に入ると2日おきに練習試合だし、MDPの業務も詰まってくるから書いておいた方がいいぞ」と言う優等生の自分もいたのだが、キャンプ2週間目の疲れもあって、後回しにしたのが良くなかった。

 

 いま優等生の自分がブツブツ言う声が聞こえる。

 だから言ったでしょ、と。

 

 

(文:清尾 淳)

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