コラム

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コンビニで疑心暗鬼
清尾 淳
 


 9月11日、レッズサポーターの車に乗せてもらって、カシマスタジアムに出掛けたときのことだ。もうすぐスタジアムというところで、飲み物と食料の調達にコンビニエンスストアに寄った。みんな、お握りやペットボトルを順番に買っていった。2人が買って、僕の番になった。レジでは僕より少し年上のご婦人が、あの「ピッ、ピッ」というやつでバーコードを読んでいく。途中、136円のイチゴ牛乳のところで「あらっ」といって、もう一度バーコードに当てた。濡れていたりすると、うまく読み取れないことがあるようだが、ちゃんと「ピッ」という音がしたので、変だなと思っていた。

 お金を払って、ふだんは見ないで捨ててしまうレシートを見ると「イチゴ牛乳×2」となっている。「ほら、やっぱり違うじゃない」と僕が言うとレジ係のご婦人は「あ、やちゃった?」と言ってレシートを見て、130円返してくれた。「あと消費税ね。ええと…」と電卓をたたこうとするので、「後でいいよ」と言って、次に並んでいるサポーターのタスク君の精算をしてもらった。彼はお握りを3つ買った。

 「786円」
 「!カンベンしてよ!」

 お握りが1個250円以上もするはずがない。1個につき2回打っているのだ。レジ係は「あ、そうだよね」と言ってやり直し始めた。そうするうちに店長だか主任だか、とにかく偉そうなご婦人が来て、「どうしたの、何やってるの」と怒りながらやり始めた。

 タスク君は無事300数十円を支払い、僕は消費税分7円(6円と言われたのだけど、主張して7円にさせた)返してもらった。

 車に戻って、先に買っていたキノッピ、ヒロ坊(2人ともサポーター)に、その話をして笑った。
 「お前らもレシート見てみろよ」と僕。
 「僕は大丈夫でしたよ」とキノッピ。
 しばらくしてヒロ坊が「ああ、やられてる!」
 やっぱり、お握りが「×2」になっていたらしい。でも、もう車は走りはじめてだいぶたっているし、「もういいよ」とあきらめた。

 5人のお客に3回のミス。これって偶然だろうか。僕が指摘したからお金が戻ってきたが、気がつかなければそれまでだ。つまり、あの店は「間違え得」ということになる。しかも、発覚しても何のペナルティも課されていない。もし意図的にやっているとしたらどうだろう。

 レジ係は、毎回1個か2個ダブリ打ちをして、バレたら謝っておしまい。ヤバそうなときには上司格が出てきて、間違えたレジ係を叱る。そういう作戦も考えられる。1日500人の客から100円ずつ余計に徴収すれば5万円の純益だ。もちろん犯罪だが。そう思われても仕方がないだろう。

 さて、この話、何か2002年に関係あるのだろうか。もちろん、ある。コンビニエンスストアは日本に来た外国人が最も利用する店の一つだろう。もし間違いにせよ、こんなミスが何度も続いたら、彼らは日本人に対しておかしな不信感を持つに決まっている。言葉があまり通じなければ、フォローだってうまくできないのだから、「あら、ごめんなさいね」では済まないのだ。ちょっとこじつけである。

(1999年9月14日)