さいたまと
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COLUMN●コラム


#046
MDP増刊号発行を終えて


 1月30日、MDPの増刊号が発行された。携わった者として、感想を少し。

 増刊号を出したいと思った理由は、以前簡単に書いたが(第38回)、二つの理由について、もう一度きちんと触れておきたい。

 11月27日の降格決定。その夜からすぐに寄せられた「J2に落ちてもレッズはレッズ。絶対に応援し続ける」という多くのサポーターの声。そして「絶対に1年でJ1に復帰する」というクラブのフロントと選手の声。

 J1復帰への思いが最も強かったときのサポーターの、クラブの、選手の、声を記録しておきたかったから、というのが一つ目の理由だ。

 この声を疑う気持ちは微塵もない。しかし一方で、その思いは11月27日がピークだったことも否めないはずだ。新シーズンが始まれば、必ずくじけそうになるときが来る。頑張ることはできても、頑張り続けることは簡単ではないからだ。そういうときに、11月27日を思い出す手掛かりを残したかった。

 こう思ってもらってもいい。くじけそうになったとき「あのとき、こう言ったのは嘘だったのか!」という証拠を作りたかった、と。

 二つ目は、2000シーズン、あるいは2001シーズン以降をどう戦っていくか、クラブの方針を明文化したかったからだ。  シーズン中、いろんなことが起こる。必ずしも常に順調にレッズが勝ち続けるとは限らない。そのときに立ち返るべき、あるいは照らし合わせるべき方針が必要だろう。それをはっきりと活字で欲しかった。

 増刊号の「出発点」はこの二つだった。これを柱に構成したかったのだが、紙数の関係で後者が中心になってしまった。今回クラブから指示されたのは16ページ。通常の28ページに比べて少ないが、広告がまったくないから、記事量としてはほぼ同じだ。

 それが、クラブを取材するうち、今はこれをサポーターに伝えることの方が大事だと思うようになった。特に横山ゼネラルマネージャーは「こんなことまで言ってもいいのかな?」と首をかしげながら、約2時間にわたり語ってくれた。これを要約してしまうのはもったいない。なるべく短くまとめはしたが、内容としてカットしたところはほとんどないはずだ。  かくしてサポーターから寄せられた、40字×60行×28頁分のお便りは、掲載した一部を除いて別冊として閲覧方式にするしかなかった。

 2000シーズンを戦う上で一番大事なことは、誰もが1999年11月27日の思いを持ち続けることだ。そして、そのことが一番難しいことのはずだ。頑張ることは何とかできても、頑張り続けることは簡単ではない。サポーターの心にしまわれている11月27日の記憶を、シーズン中何度かよみがえらせてもらうことになるだろう。

(2000年2月3日)