さいたまと
ワールドカップ





COLUMN●コラム


#054
  物差しが多い今シーズン


 やっぱり、シーズンが始まると、忙しいせいもあるが、思いをすべてMDPに集中してしまうから、なかなか「はみ出し話」にまで回らないなあ。でも今回はMDP本体には書かない話を。

 3月11日の開幕戦。レッズは水戸ホーリーホックに2-0で勝った。駒場かテレビで見た人は多いだろうけど、みなさんはどう感じただろうか。

 僕は今年のレッズの試合は、見る人によってものすごく評価が分かれると思うのだ。それはもちろん、サポーターの物差しが違うからだ。

 「40戦全勝、無失点でなければ駄目」
 「毎試合最低3点以上は」
 「格の違いを見せつけるような圧勝で」
 「どんな試合でも毎回勝って」
 「最終的にJ1に上がれればいい」
 …。

 その物差しは、どれもその人なりに根拠のあるものだと思うし、他人から見れば「ちょっと違うなあ」と異論をはさみたくなるものだと思う。僕は開幕のMDP153号で、「勝ち点120からのスタート」という考え方を紹介した。40戦すべてに90分勝ちすれば勝ち点120でぶっちぎりのJ2優勝。文句無しのJ1復帰。しかし現実にはそんな訳にはいかないから、延長勝ちだったり、引き分けだったりしたら1点、2点ずつ減っていく。負けて3点減ることだってある。そんな中でいかに120からの減点を少なくしてシーズンを終えることができるか、というのが今シーズンのレッズの戦いだと思うのだ。

 もちろん、開幕前にはどのチームも勝ち点120の可能性がある訳だが、特に今シーズンのレッズは、その戦力から来る期待度、昨年の悔しさから来る期待度、J1に上がってからの期待度、いろいろな角度から見た期待度は、勝ち点120を意識していいし、選手が勝ち点120を期待されるのは止むを得ないと思う。そして同時に、そこから減っていくのは仕方がない、ということも自覚しないといけないのだ。

 このMDP153号を見て「なるほど」という意見もあれば、「違う」というお便りもあった。僕は今シーズンの自分の考え方を披露したのであって、テーゼ(命題)を提案したのではないから、いろいろなリアクションはあって当然だ。こういうふうにサポーターの物差しがいろいろあるというのは、試合後の感想が様々に分かれて興味深い。

 そしてリーグが進むに連れて、それぞれの物差しが変化していくかもしれないのも、しっかり見つめていきたい。

(2000年3月22日)