さいたまと
ワールドカップ


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COLUMN●コラム


#150
プライド

 ワールドカップのために建設された新しいスタジアムは、7月以降どうなっていくのだろうか。埼スタも含めて、日本開催の大きな効果であるはずの「施設の拡充、整備」が本当に効果を発揮するためには、時間がかかりそうだ。
 新しいスタジアムに接するたびに思い出すのが仙台スタジアムのことだ。97年にここを取材で訪れたとき、職員の方々と話して一番印象に残ったこと、それはあの人たちが「どこのスタジアムを真似た」「どこどこを参考にした」ということを公言してはばからなかったことだ。
 「国立競技場はもちろん、カシマスタジアムや駒場スタジアムなど、Jリーグで使っているいろんなスタジアムを見学させてもらいました。いいところをみんな真似させてもらいした」。
 芝、観客や来賓の動き、ベンチの位置や本部の位置、入場ゲート、売店。あらゆる要素を、既存のスタジアムに学び、一番いいところを採用する。あるいは改良して作る。ちょっと考えれば当然のようなやり方だけど、人によっては「プライド」が邪魔してなかなかそうはできない。ましてや「真似ました」とはっきり言えるものではない。
 仙台スタジアムの方々からは「いいスタジアムを作るためにできることは何でもしました」という姿勢が感じられた。自分たちの、ある意味つまらない「プライド」など、そのためには必要ない、そんなスタンスなのだろうか。僕はその方がもっと大きなプライドを感じる。


(2002年5月7日)