さいたまと
ワールドカップ


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COLUMN●コラム


#151
アリソン

 アリソン選手の去就が取り沙汰されている。
 夕べ5月12日の夜にあったテレビ埼玉のトーク番組で大野勢太郎さんが、このことについてサラっと触れておしまいにしたのは、情報が少ない中で推測でものを言っても仕方がないと思ったからだろう。だけど、スポーツ新聞には「退団は決定的」と書かれている。僕も「推測」ではなく「理屈」として一言コメントしておきたい。


 オフトが監督に就任したときに、外国人選手、新人選手を含めて戦力はすでに確定していた。シーズンが終わってから監督が代わると、だいたいこういうことになる。レッズの場合、選手の陣容を決めるのに監督の意向が反映されたのは96年(オジェック)と99年(原博実)だけだ。
 オフトは就任するときにフロントに「チームを見てもいないのに選手の入れ替えはできない。実際にスタートしてみて決める。さいわい中断期間が2ヵ月あるから、補強するとしたらその時期でもいいだろう」と言った。ヤンセンも「そうだ。それがいい」と同意したらしい。


 今のレッズの陣容を見て、どのポジションの選手を補強する必要があるか。直接オフトは答えてくれなかったが、普通に見れば公式戦13試合中11試合で失点している守備陣だろう。攻撃陣に関していえば左サイドからの攻撃があまり見られないことはあるが、攻撃全体としてはまずまずとしていいはずだ。
 ワールドカップによる中断期間と言ってもJリーグはシーズンの途中。しかも1stステージも終わっていない。この時期に有力な日本人選手を引っ張ってくるのはかなり難しい。サポーターの中には「F・マリノスの松田やエスパルスの森岡を採ってこい」と言う人もいるけど、今の時期にそれをするのは不可能に近いことだ。○島の○島みたいな選手なら別だけど。
 いま採るとしたら、この時期にシーズンが切り替わる外国人しかいない。そうすると現在在籍しているトゥット、エメルソン、アリソンの3人のうち誰かをはずすしかなくなってしまう。トゥット、エメルソンはレッズが高い移籍金を払って所有権を保持している。よそへ移籍させるときはそれなりのものをもらわなければいけない。走る不動産みたいなものだ。アリソンは今年1年のレンタル。契約形態で一番垣根が低いのがアリソンなのだ。
 今年を戦っていくのに、何も補強がいらないのなら、3人のブラジル人は1年間そのままかもしれない。しかし「中断期間に補強」という当初の予定通り進めるならアリソンをはずすしかない。「いらない」日本人選手を何人切っても外国人を増やす訳にはいかないのだ。


 だけど、これは理屈。感情的には納得しがたい。僕は3人の中で一番アリソンと仲がいいつもりでいる。これだけ体を張って頑張っている選手をなぜ?という気持ちはぬぐえない。また理屈としても、アリソンをはずすことによって起こるマイナスはどう埋めていくのか。新しい外国人選手が守備的なポジションだとしたら、当然日本人選手でアリソンの穴を埋めなくてはならないのだけど、それは大丈夫なのか。そもそもが、今の3人の外国人選手の採り方に問題はなかったか。FW2人に攻撃的MF1人。バランスも何もあったものではない。
 オフト新生レッズと言っても、去年までのバタバタしたチーム作りのツケはまだ残っている。3年計画の1年目は、そこにも手を入れながらやっていくしかない。


 と、これだけのことを語るのはやっぱりテレビじゃ無理だったなあ。


(2002年5月13日)