|
COLUMN●コラム
#172
ジンクス
気持ちの中ではサポートしているものの、実際にはゴール裏のサポーターよりもレッズの勝利に役立っていない。それが試合中の僕の存在だ。勝っているときに、自分の近くのボールをすぐに返さないのはどうなんだ?あれはわざとじゃないんだって!(No127参照)。
だから、いろんなことで自分に「大丈夫、大丈夫」と言い聞かせたくなる。サポーターの応援で「このタイミングで、これが始まれば勝てる」というのもある(よくはずれるけど)。相手の決定的なシュートがバーやポストに当たったりすると「よおし!流れはこっちに来た」と思うこともある(そうでもなかったりするんだけど)。ほかに、ストップウォッチをスタートさせるタイミングとか、カメラの追い方とか、要するに自分の気休めみたいなものが細々とあるのだ。
31日の広島戦では、もう少し現実的なもの、確信に近いものがあった。一つは田中達也のゴール。今季、達也がゴールした4試合では負けていない。再開後、達也が点を取らなかった試合では勝っていない、とも言えるが…。
ジンクスはジンクスとしても、失点した2分後に、速い攻撃で、しかもサイドからのクロスに合わせたゴールで同点というのは試合の流れとしても、実際のスコアとしても最高だ(失点しまった後としては、だよ)。
もう一つは、邪魔になるほどうるさい場内アナウンスだ。あのDJ調の「俺が主人公だ!」みたいなしゃべりに頭に来た人もいるだろう。でも後半を終えて、延長に突入したときの彼のコメントを聞いて、僕は「こりゃ勝ったな」と思った。
「しかしサンフレッチェは…(くどくど)…2ndステージの開幕戦では負けておりません」。
お!それ言っちゃうの。いま?
試合の始まるだいぶ前にエピソードとして、あるいは見事試合に勝ってからならいいだろう。でも、必死の戦いをしている真っ最中、しかも広島は10人での不利な戦いをしている最中だ。10人なのに90分で負けなかったことを見ても、必死で頑張っているのは明らか。そこで、それを言うのは「泣き」だよ。「神だより」だよ。あれじゃ、もし広島が勝ってもジンクスのおかげで勝ったみたいじゃないか。戦っている選手に失礼だと思うなあ。今から延長、というときに場内全体にあんなコメントを流したことで、僕は広島のモチベーションはかえって下がると思った。
あのDJ、広島を勝たせようと必死なのはわかるが、どうするのが一番いいか、まるでわかっちゃいない。負けたあとにくどくどと言い訳して、これからも頑張ろうみたいなことを言い続けたのも「?」だ。そんなことサポーター自身が考えることじゃないの。
でも広島のサポーターは満足しているんだろうから、僕たちが我慢すれば済むことなんだけどね。
振り返ることが二つ。
「シーズン最終戦は負けない(富山を除いて)」というレッズのジンクスは、それに頼れるものじゃない。シーズン最後だから絶対に勝とう、勝たせようという選手とサポーターの気持ちがそういう結果を生んできたのだ。「最終戦だから勝てる」なんて思ったら、その時点で負けだよ。そのころ、よけいなこと言うなよ、スポーツ新聞。
もう一つ。やっぱりレッズの場内放送は最高。慣れてしまって、ほかと比べないとわからないけど、広島に行った人は4日のレイソル戦のときに思い出しながら朝井さんと岩沢さんの放送を聞いておくれ。どこが良いのか、ここでは言わない。みんなが感じるべきことだから。そして9月8日のMDP203号は、場内放送「GO REDS GO」の秘密を明かす大特集だあ!面白いよ。
(2002年9月2日)
|