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COLUMN●コラム


#189
ナビスコカップ

 初めて取るタイトルは何がいい?とサポーターと話したことが何度かある。
 「やっぱりリーグだろ。それ以外じゃ満足できない」
 「天皇杯だよ。あの勝ち上がっていくムードがいいし、元旦に国立で応援したい」
 理由は違っても、この2つに分かれていた。残念ながらナビスコカップという声は聞かれなかった。どこの国でもリーグカップはやはり第三のタイトルなのか。
 
 
*  *  *
 
 
 G大阪との準決勝を前にして、サポーターにこう言われた。

 「俺、ナビスコのタイトル欲しいよ。自分が初めて浦和レッズを応援した大会だから」。

 そうそう。そうなんだ。僕もナビスコカップを好きなのは、自分が初めてMDPを作ったのがナビスコカップだったからだ。初めて選手を取材した調布の三菱重工グラウンド。招待券を持っているのに入れないファンが平塚競技場を取り巻いた横浜F戦。レッズの幻のゴールのたびにファンが大宮サッカー場のピッチになだれ込んだ名古屋グランパス戦。そして初めて「予選落ち」を体験した神戸ユニバのガンバ大阪戦。正直に言ってしまえばこの最終節のガンバ戦には行く必要がなかった。MDPの製作はその前で終わっていたのだから。だが、その前の数試合でレッズの、プロサッカーの魅力に取りつかれた僕は、結末を自分の目で確かめずにはいられなかった。なんとかかんとか理由をつけて「出張」にした記憶がある。
 今でも「ナビスコ」と聞くとクラッカーを思い出すよりもチアホーンの音が頭に響いてくる。僕にとってナビスコカップは、チームによってはモチベーションの低い天皇杯よりも愛着のある大会なのだ。だから、たとえ予選リーグに代表選手がいなかろうが、J2抜きで16チームだけの大会だろうが、ナビスコのタイトルホルダーになることで、僕の10年に一区切りが付くような気がする。前述のサポーターも同じだろう。
 URAWA BOYSの相良さんだが。

(2002年11月2日)