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COLUMN●コラム


#205
交渉経過


 山瀬功治の完全移籍が昨日、発表になった。これで移籍による獲得は2人目。
 知り合いの札幌サポから「山瀬を誘うのは当然。落ちるチームが悪いんだけど、ほとんどの札幌サポに鬼畜扱いされることは間違いないわ、浦和」とメールが来た。鬼畜。まあ、いいや。
 27日に目撃したのはやはり山瀬本人だった。後から聞いたら、住まいを探しに来たところだったとか。27日は井原引退、28日は天皇杯準決勝。ニュースになる大きさを考えて29日発表だったのだろう。レッズはそういうところを考えていたりする。
 そう言えば、GK都築龍太の獲得発表は21日だった。翌日が天皇杯4回戦だったから、その前にしたのか?いや、わざわざ3連休の初日に発表したのにはいきさつがある。


 21日、レッズの中村修三CMが大阪のホテルで都築に会っていた。本人ともガンバとも交渉を終え、完全に合意してそこのレストランで食事することにしたらしい。普通だと中村氏がクラブに帰ってきて、連休明けに正式発表という運びになる。
 ところがそのホテルにはスポーツ新聞の記者が大勢詰めていた。なぜかというとジュビロの高原と交渉するために来たドイツ・ハンブルガーの関係者が泊まっていたからだ。高原の移籍を追いかけて来た各紙の記者が、中村氏と都築がレストランに一緒に入るところを見て、黙っているはずがない。食事を終えて出てきた中村氏は、待ち構えていた記者にびっくりし、急きょクラブに電話して、「もう発表しよう」ということになったのだった。合意した後だったから良かったが、まだ交渉の段階だったら?会合の場所には注意しよう、修三さん。


 「移籍による大幅強化」を宣言しているレッズだから、今オフはいつもにましてサポーターの注目を集めている。ゲーム的に言えば「欲しい選手リスト+年俸・移籍金」と補強のために使えるお金を公表してもらえば面白いだろう。さらに「交渉の経過」も報告してもらえばもっと興味をひくだろう。
 だが、そんなことをして交渉がうまくいくはずがない。交渉を成功させるためにも、また成否にかかわらずお互いの道義的にも、発表できる段階までは基本的には伏せて置くのが常道だ。プロ野球、中村紀洋選手の大リーグ移籍をめぐるゴタゴタを見ても、それは明らか。だから推測が多く正確性にはやや欠けるがスポーツ新聞の記事は、その補完材料としてちょうど良いくらいなのかな、結局。


 「清尾さん、いろいろ知ってるんでしょ?」とよくサポーターに聞かれる。確かにレッズは突っ込んで聞けば、交渉の段階なども教えてくれるが、僕を信頼して話してくれたことを発表前に書く訳にはいかない。だから僕から聞きにはいかない。発表前に山瀬を浦和で見かたという話、もうこのコラムの更新ができない時期だからあの日に書いておいたが、でなければ我慢しただろう。

(2002年12月30日)