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COLUMN●コラム


#207
腹を切るより腹を割って


 結果出す 今年?来年? さあどっち


 2003年は数字自体にこれまでのような意味がない、と言った。それはそうだが、レッズとしては大きな意味がある。言うまでもなく、オフト就任2年目という意味が。
 これまで、少しあいまいにしていたことがある。オフトレッズが優勝という結果を出すのは2年目の今年なのか、3年目の来年なのか、ということだ。
 去年の1月、レッズは代表(当時は塚本氏)、GM、監督の3人が口をそろえて「3年目には優勝を」と言っていた。1年目はそのための基礎作りだと。
 しかし6月に就任した犬飼新代表は「3年も待てない。2年だ」と、いきなり宣言した。そりゃ、優勝するまで待つ時間は短い方がいいに決まっているが、10年を9年にするのとは違う。3年を2年にする、正確に言うと、残り2年半あった熟成期間を1年半に縮めろ、と言うことだ。
 可能なのか?


 去年の1月、多くのサポーターは「3年か。長いけど本当に優勝するなら待つしかないな」という気持ちでいたに違いない。
 開幕してすぐには勝てなかったが、駒場で初勝利。そしてナビスコで予選1位通過などを見て、「何となくチームの形が見えてきたかな。これなら再来年にはいけるかも」と思っただろう。
 そして「来年」宣言である。サポーターはこれをどうとらえたのだろう。もし去年の2ndステージの8勝1分け6敗が、「まとめ勝ち」と「まとめ負け」ではなく、交互に来ていたら、あの歓喜の2ヵ月はなく、その代わりに議論が沸騰していたはずだ。
 いまは優勝する前年なのか、それとも前々年なのか、と。


 いかなる場合も試合には勝つつもりで臨む。たとえ優勝目標年が2004年であっても、2003年も勝利を目指して戦うのは当たり前だ。今年が結果を出すべき年なのか、そうでないのか、などという議論がナンセンスなのはわかっている。だけどフロントは理解しておくべきだ。
 サポーターとの信頼関係を作っていくのは、情報の開示が基本だ。それは我々にとって響きの良い言葉を並べるのとは違う。「今年は優勝できなくても止むを得ない」。この気弱に聞こえる言葉が初めてクラブの代表から発せられた去年のシーズン前、多くのサポーターは多少がっかりはしても納得したではないか。
 今年はこういう年。そのためにこういうことをする。失敗して責任を取るのに腹を切る覚悟は潔いが、サポーターはそんなことを望んでいない。新年スタートのいま、腹を割って、その中にあるものを見せてほしいのだ。

(2003年1月3日)