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COLUMN●コラム


#229
エフェンベルク


 「(エフェンベルクには)興味がない」
 初めからそう言えば、あんなにデカデカ書かれなかったのに。


 4月6日のグランパス戦後の記者会見でオフトが語った。もちろん、その日の試合に関係ないことをわざわざ言う訳がないから記者の質問に答えたものだ。僕の知る限り、記者の前でエフェンベルクの獲得について公式に否定したのはあれが初めてだ。いや、こういうと何か意味ありげだな。要は、エフェンベルクを獲得するかどうか、ということについて、オフトはな~んにも言っていなかったのだ。


 元ドイツ代表のエフェンベルクをレッズが獲得に動くかもしれない、という記事が土曜日のスポーツ各紙に載った。エフェンベルクはバイエルンミュンヘンをやめてからボルフスブルクに入り、今季の契約満了前に退団した選手。中盤の選手でオフェンシブもディフェンシブもこなせるらしい。「らしい」というのは、正直に言って聞きかじりだから。そう言えばそういう選手がいたな、というくらいで、知識は今回あらためて仕入れた。
 今回スポーツ紙全部に目を通した訳ではないけど、たとえばN刊の記事を読むと、どこにも間違いは書いてない。うーん‥、そういうと誤解を招くな。こう言っておこうか。
 具体的な発言や推測の根拠となったことについては間違いとは言えない。だからと言って、そこから導き出される結論が間違っていないとは限らない。


 新聞記事の載った前日、練習後の監督囲み取材で、まず記者がエフェンベルクを話題にした。オフトは普通に感想を言った。かなり良い選手だ、というような内容だった。
 次に、「昨日、チームを退団したんですが、レッズにいかがですか?」というお奨め(笑)が記者からあった。監督は「そういう話はまずクラブの中で本人のクオリティや資金面などを検討してから始まるもの。先にしゃべってしまえば、ほかのチームも獲得に動き始めるかもしれないし、条件が不利になってしまう。だから何も言うことはない」と答えた。選手獲得に関する一般論のようだった。


 その囲み取材のあと、僕は笑いながらオフトに言った。記憶では確か‥

 「ゼイ・メイビィ・ライト・ユー・ディドゥント・セイ・ノウ」
 「? I don’t say anything」
 「ユー・ディドゥント・セイ・エニシング・イズ・ユー・ディドゥント・セイ・ノウ」
 「Stupid!」

 僕の英語ではこれが限界。これ以上はとても会話できない。でも「何も言わなかった、というのは、否定しなかった、というふうに受け取られますよ」という意図は通じたようだ。この後、オフトはわざわざ記者さんたちのところへ「イエスとかノーとかじゃない。ナッシングだ」と言いに行った。でも、そんなことでひるむ記者諸兄ではなかった。いや逆にわざわざ言いに来たこと自体がネタになってしまったのかもしれない。


 ・中盤で攻撃に絡める
 ・ドイツ人選手だからギドの守備範囲
 ・移籍金なしでいますぐ取れる
 ・ビッグネーム


 エフェンベルクの状況は今のレッズにぴったりではないか、という訳だ。しかもオフトは否定しなかった。それどころか「彼はいい選手だと思う」という初めのコメントと「先にしゃべると条件が不利になるから言わない」という一般論的な説明をつなげれば、立派に臭ってくる。森GMにも当たって否定されたが、そこは本当に駆け引きだからわからない。かくして土曜日の記事になったという次第。記事を呼んだ人が「公にはしていないが、水面下で動いているのか?」と思っても不思議はない。
 言っておくけど、僕はこの記事を間違いだと言う気はさらさらない。さっきも書いたように、個々のところで「ウソ」は書かれてないからだ。というか新聞には「ミス」はあるかもしれないが「ウソ」はないはずだ。事実(断片的にせよ)、状況証拠、読者の興味、そういうものを合わせて記事を作るのも記者の仕事だ。それがズバリ当たることだってなくはないのだし、そうなったら記者冥利に尽きるというやつかもしれない。
 以上、僕の見たエフェンベルク記事のできるまで。


 でも、もし本当に来たら、鹿島やFC東京のサポーターは「ビッグ中指」でも作って歓迎してくれそうだな。


(2003年4月7日)


<追伸>
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