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COLUMN●コラム


#280
なぜいま「11.3」?+追伸


 279の追伸に書くべきなのだろうけど、長くなりすぎるから新しくした。そう、国立の「浦和レッズ・トリコロール」の件。


 まず、さいたま市のIさんから「清尾さん、あの投書の主はおそらく国立にいたんだと思います」という電話をいただいた。ん?僕と意見が違うな。
 「だって、投書には『緩衝地帯が徐々に狭まってきた』みたいなことが書かれていたでしょう。あれはテレビじゃわからないと思うし、それよりも何よりも、あのキックオフ前のスタンドを見たからこそ、『なんでレッズがこんなに多いの!』と気がついたんじゃないですか?あれがなければ、あそこまではっきり色分けされなかったはずですよ」
 う~ん。見事な推理だ。たしかにIさんの言うとおりだろう。MDPの229号で鈴木啓太が「入場のときに、どこまでが浦和のサポーターかすぐにわかって、『ああ俺たちにはこんなに大勢の人がついていてくれるんだ。そのためにも絶対に勝たないと』と思いました」と言っているが、それこそまさにサポーターが望んだこと。「ロッソ・ビアンコ・ネロ」の通称マイケルさんが事前に言っていたのを思い出した。
 「わからせてやるんですよ。お前らの味方はこれだけだってね」
 相手にもレッズの選手にも狙い通りの効果があった、という訳で、この啓太の言葉と朝日の投書で、あの苦労も報われただろう。ついでに、当日手伝ったある高校生サポーターの言葉も紹介していく。
 「マイケルさんからアイデアを聞いたときには、無理だと思った。だって、自由席は何とかなっても指定には鹿島のファンもいるだろうし、ホームと違って指定席エリアには行きにくいし。だから実際に鹿島のゴール裏以外が全部赤・白・黒で埋まって見えたときはびっくりした。今までいろいろやってきたけど、自分でやってあんなに感動したのは初めて」


 さて次は、僕が見聞きできなかった指定席エリアの様子について、2人の人がメールを寄せてくれたので紹介しよう。


 #279の国立のスタンドのパフォーマンスのこと。実は私は21ゲートのホーム側SA席でした。数列後ろに柵があり、自由席との境目付近。そこには大勢のレッズサポ。確か12時半ごろだったでしょうか、フィルムを抱えた彼らは指定に入れずに私たちにフィルムを託しました。
 私は正直、サポになって日も浅く(1年半)、自由席ほどの応援も出来ません。しかしためらいの全くない彼らの声に反応しそのフィルムを受け、最前列から一人一人に掲げるタイミングについて声を掛け手渡ししていきました。その時の私にも勿論ためらいはなく、私と同じような人たちがあちこちにいました。多分、その誰もが予想もしていなかった事を手伝い、その「タイミング」を息を呑んで見守ったことでしょう。「本当に上手く行くのだろうか?」と。
 今回、私はほんの一部をお手伝いしたに過ぎません。けれど、選手がその光景に触れた言葉を読んだ時、とても嬉しく感じました。同時に「浦和レッズ」というクラブとそれを取り巻くサポーターが好きなのだ、と思いました。誰かが好きだからレッズを応援するのではなく、レッズが好きだから応援するのです。やはり、サポはレッズの一員ですね。
 あと二つ。私たちが優勝を勝ち取れることを願います。
(Jさん)


 #279の「その後の経過はわからない」について。
 アウェーS席(メイン側)についての経過レポート?です。ご参考までに。(アウェーって違和感ありですね。だってホームだもん)
 千駄ヶ谷門入場なので、UBの入場をスタジアムの外で聞きつつ、席についたのは11時30分前後。各ポイントにシートは置いてありましたが、一人の方が細々と置いている状況だったので、手伝いますと声をかけて配り始めると、数人がそれを見て手伝いに来てくれて、手伝う人が少しづつ増えていって…、という感じでした。
 みんな説明がなくても、自発的に手伝って、要領もわかってて割と短時間で配れたと思います。指定組は普通来るのが遅いから、この時点で来てた人たちは、通常はバック・自由組で、以前にも手伝った経験ありの人もいたのではないですかね(私もそうです)。
 中央のSS席は、SS席の一部の方と、あとはS席の人が勝手に入って(私たちですが)配ってました。圧巻は、ホーム鹿島よりのS席とバック鹿島よりの席にシート配りが広がっていくところだったです。さすがにSS席を越えて、ホームS席には配りにいけなかったけど、向こう側のS席の人が配り始めたのを見て、「おーっ」と思いました。どこまで広がるんだろうって。
 あれは、ロッソのみなさん、マイケルさんのアイデアの大勝利ですね。短時間で準備できて、しかも何処までがレッズサポか一目でわかるし、使い方も分かりやすい。指定、バックのシート上げてない人だけが鹿サポですものね。最高のサポートだったと思います。
 瑞穂では、日本平できなかった最高のサポートが出来るよう頑張りたいと思います。
(Aさん)


 知らないところで、いろんなドラマがあった11月3日だった。
 終わったことをいつまでも懐かしんでるんじゃない!って?違うよ。あと二つ、絶対に勝たないと、勝たせないといけない状況だからこそ、自分たちに何ができるか、どんなすごいことをやってきたかを思い出してほしいんだ。リーグを戦っている時に言わないと意味がないじゃん?これから、まだまだ吐き出すよ。 勝負は今なんだから。


(2003年11月18日)


<追伸>
  さすがにもう新しくは立てられないので関連メールはここへ。4人分です。

●ナビスコカップ決勝戦、国立でも浦和でもなく四谷周辺で起こった出来事をお知らせしたくなり、メールいたしました。
 11月3日、どこからともなく太鼓の音と歓声が聞こえてきました。それは時を追うごとに大きくなり、はっきりと浦和コールや応援の歌が聞こえるようになりました。
 町のBBSにも住人が書き込み始めます。
「河田町に引っ越してきたものですが、今この界隈に響き渡っている『ウォー!』『うおぅうおぅーーー♪』とか、太鼓とか歓声とか…、すみません、すごいんですけど、これは何をどこでやっているものなんですか?この辺りにそんなに大きな競技場ってありましたっけ?」
「国立競技場でナビスコカップの決勝(サッカー)やってるけど、河田町まで聞こえるのかなぁ。隣の家のテレビでは?」
「河田町まで聞こえたかどうかわかりませんが、四谷までは確実に国立競技場のレッズサポーターの声が聞こえました。というか、何を歌っているかもかなりくっきり聞こえましたよ。雨なので音が聞こえやすかったのかも。 」
「ああ、やっぱりそうなんだ。ウラワレーーーッズ、とかゴーゴーレーッズって聞こえたんだけど、なぜ浦和のチームが?って思ってました。。。(汗)雨だったからかもしれないですね。最後に場内アナウンスまでしっかり聞こえました。しかしすごい音の大きさでした。」
「あれは間違いなく国立から聞こえてくるサポーターの応援ですよ。代表の試合や、レッズの試合があるときは結構聞こえますよ。最初は私もびっくりしましたが・・。(余丁町在住です)」
「ちなみにうちは四谷の学習院初等科の裏だけど、風向きによって神宮とか国立競技場の歓声がすごく良く聞こえる。気がついたのは18年前の阪神優勝だった。それにしても今日はすごかったなー。A代表の試合でもこんなに聞こえる事はなかったよ 」
 試合はテレビ観戦でしたが、声援は生で体感いたしました。時々神宮や国立の歓声が聞こえることがありますが、四谷に住んで5年、あんなに大きい歓声が聞こえたのは初めてでした。
 以上、つまらないことですがお知らせいたします。
(四谷在住のAさんから)

★「町のBBS」というのがあるんですか?四谷界隈には。それはともかく、これも僕たちにはわからない部分でした。Aさん、ありがとうございます。


●「ホームじゃないんだよな」を読んで。私にも印象的なシーンがありましたのでお話させてください。決勝戦、メインスタンドアウエーよりの前の方で観戦できたのですが、選手入場のとき、赤いシートを掲げながら垣間見ると、一人のカメラマンさんが苦笑しながら首を振っているんです。ピッチに背を向けて。(=浦和トリコロールに背を向けて)
 その唇はこう語っているかのようでした。「国立をホームにしちゃったよ」。察するにこの方は レッズに対して非常にシンパシーを感じている 茨城新聞のカメラさんではないでしょうか。(そんな人、いるのか。おい)失礼しました。
(Iさん)

★そんな人はいないと思いますが…。


●#279、#280と続けて読んで、ロッソのみなさんをはじめいろんな方の協力があったのだと改めて分かり嬉しく思いました。
 11/3は、両親といっしょに国立へ行ったのですが、諸事情で到着が予定よりおそくなったものの、少し前に開放したブロックがあると係員の方から聞き、なんとか自由席(ホーム)に座ることができました。空いた1ブロックの隣は、鹿島サポーターでいっぱいでした。席に座って周りを見回すと、赤いフィルムを持っている方が何人かいました。でも、そのときは私を含め、持っていない人のほうが圧倒的に多かったです。
 「どこで、フィルムをもらったのですか?」と聞いてみようかとも思いましたが、もう少ししたら試合も始まることだし、何かしらのパフォーマンスを見るのを楽しみにしよう、と思ってました。すると、たくさんの赤いフィルムを持った男性が来て「まわしてください。」と配りながら、大きな声で説明をしてくださったのです。私の手元にも、後ろのほうから、フィルムがまわってきたので前の席の方へどんどんまわしていきました。もともと、鹿島サポーターと浦和サポーターの境目で開放されるまで誰も座っていなかったブロックにもかかわらず選手入場までにフィルム配布が間に合ったのです。
 本当にすごいことだと思います。たくさんのレッズサポーターのみなさんと同じ時間を共有することができて、嬉しかったです。また近いうちに同じような経験をぜひしてみたいです。なんだか、まとまりない文章となってしまいましたが以上、コラムを読んで感じたことです。
(Oさん)

★次は配る側になってみませんか?さらに濃密な時間を共有できるかもしれませんよ。次?いや、来年のナビスコ決勝ではなく、すぐ近くにそんな機会が来るはず。


●末端サポーターから見た「浦和レッズ・トリコロール」。
 ちょっとタイミングがずれてしまいましたが、11/3の件、蒸し返させていただきます。私は、清尾さんがコラムでおっしゃった「確かにレッズのサポーターは人数が多い。数が多いからできることもある。しかし人数が多いだけではできないこともあるんだ」に対して少々異なる意見をもちました。
 私はホームゲームと関東近辺のゲームにしか顔を出さず、最近ではゴール裏に行くこともない人間です。11/3は友人たちと2500番台の先発隊として入りましたが、例の地上絵については事前に何も知りませんでした。でもスタンドに座っていれば誰だって気がつくんです。「誰かが何かをレッズの為にやろうとしていること」が。面識が無かろうと何であろうとそんな人を見かけたら「どうやって配るんですか?手伝えますか?」と自然になるんです。
 きっと現地調達の傭兵は私だけではなかったと思います。あちらこちらから人が集まって、私のいたブロックはあっという間に黒いシートの準備ができました。この経験と、清尾さんのコラムを読んで解ったことを総合しますと、事を始めるきっかけさえ作ってくれさえすれば、どのスタジアムも「ホームにできる」のです。
 今回のことはむしろ「人数が多いから」こそできた面もあるのではないでしょうか?
(Kさん)

★僕の言葉が足りなかったのでしょうか?「人数が多いだけではできない」というのは、数が多いことを前提としているのですが…。
 その点では「人数が多いからこそできた」と言っても間違いではありません。しかし、それ「だけ」ではできなかった、こともまた事実でしょう。
 Kさんたちが何も疑わずに手伝ったのも、これまでレッズサポーター自身がそういうムードを作ってきたからです。応援の発信源が二つ、三つに分かれていて対立していたりすれば、そういう雰囲気になるでしょうか?また「事を始めるきっかけさえ作ってくれれば」と言われていますが、あのパフォーマンスをやろうという決断は、「さえ」という言葉がつくほど簡単なものではなかったと思います。
 せっかくメールをいただきながら反論しているようですみません。ただ、レッズサポーターは人数が多いだけでなく、それを最大限に生かすやり方を知っており、かつそれを実行に移す行動力と団結がある、ということを確認したかったのです。たとえばヴェルディサポーターは93年のJリーグ発足当初は日本で一番数が多かったはずですが、僕は見ていて悔しくなるような応援に出会ったことがありません(試合では何度も悔しい思いをさせられましたが)。
 ご指摘のあった僕の言葉は、こう言い換えればいいでしょうか?
 「あのパフォーマンスは人数が多くなければできなかった。しかし人数さえいればできたかと言えば、そうではない」