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COLUMN●コラム
#359
そういうもんだ
僕は、みかんが大好きだ。適度な酸味がある方がいいという人もいるだろうが、僕は甘い方が好きだ。やわらかい甘さの中にわずかな酸っぱさを感じる、というのが一番いい。紅茶も同じで、普通はミルクだけ入れて砂糖は入れない。お店か何かで、間違ってレモンティーが来てしまった場合は、(大人だから)怒らずにそのまま飲むがレモンティーには砂糖を入れる。甘さと酸味の融合が好きなのだ。
ある背景があって、みかんは愛媛県の西宇和農協のものしか買わない。愛媛みかんしか食べない訳ではない。出されればどこのみかんでも食べるから、宗教上の理由などではない。自分でお金を出して買うときは愛媛県西宇和農協のもの、と決めているのだ。事情については長くなるから省略。ただ自分の信念として決めたことであることは強く言っておこう。
という訳で、今年も、じゃない去年も箱でみかんを買った。10数個入りの袋では1日でなくなってしまうから、箱で買う。5kgにするか10kgにするか迷ったが10kgにした。天皇杯の準決勝が終わるまではロクロク家におらず、みかんを食べる余裕もなかったから、買うのは今シーズン初である。息子も結構食べるから10kgでもそんなには持たない。
あれ?
中袋が厚い。
僕が愛媛県西宇和農協のみかんを買うのは、先に挙げた(挙げてないって)事情もあるが、それと同時に美味しいからだ。外皮をむいて半分に割り、すじもロクに取らずにそのまま食べる。中袋は存在を感じさせないほど薄いから、何の違和感もない。1個を二口か三口、小ぶりのものだと一口で食べてしまうから、僕がみかんを食べるときは4個~5個が1回の単位となる。他の産地のものを意識して食べたことはないが、西宇和農協のみかんは僕のその食べ方にぴったり合っている。それも箱買いする大きな理由だ。
ところが今年のみかんは、いつもより「頑丈に」できている。味は変わらないと思うが、中袋が厚いので、いつものようにすぐに飲み込めない。だから、箱の中の減り方が例年より遅い。年を明けてもまだ残っている。
3日、ためしに他のみかんを買ってみた。「他の」といっても他の産地のものではない。西宇和農協には5箇所(昔は5箇所だった)の選果場があって、農家はみかんをそこへ持ち込む。選果場で大きさを分けたり、痛んだものをはじいたりして箱に詰めて出荷する。だから箱には「西宇和農協」の表示と共に「○○共選場」の表示がある。年末に買ったのとは違う選果場のものを買ってみた。今度は袋だ。10個全部食べてみた。はやり中袋は厚めだった。
考えた。愛媛のみかんは、瀬戸内海が見える斜面で作られている。太陽の光が瀬戸内の海に反射してみかんの実を照らし、それが柔らかくて甘いみかんを育てる。そう聞いた。しかし去年は台風の当たり年だった。日照時間が例年より短かったはずだ。おそらく、その影響だろう。
聞いてみよう。西宇和農協に電話した。中袋が厚い、という声(僕は苦情としては言わなかったよ)は今シーズンよく聞かれるそうだ。原因はやはり台風の影響らしい。電話口の人は詳しくは説明してくれなかったが、簡単に考えると風雨に耐えて育てば「頑丈に」なって何の不思議もない。あるいは頑丈なものだけが残ったとか。収穫高も減っただろう。車も入らないだんだん畑の斜面を登ってみかんを育ててきた農家の方が気の毒だ。
でも、僕は他の産地のみかんは買わない。家にある箱の中身はそろそろ底が見えてきたので、今週末には新しい箱を買い足すだろうが、今度も迷わず愛媛県西宇和産を買う。もし、今年に限って他の産地のものが良かったとしても、やはり愛媛県西宇和産のものしか買わない。一時の味や出来栄えで買う買わないを決めているのではないのだから。今年も、これからもそれは変わらない。
そういうもんでしょ?レッズサポーターのみなさん。
(2005年1月5日)
<追伸1>
えー、決して、他のみかん産地のものが西宇和産のものより劣る、と言っている訳でないことは読めばおわかりいただけると思います。それでも特定の産地名ばかり出して、他のみかん産地のみなさんが気を悪くされたら申し訳ありません。でも「○○県×××農協」じゃ面白くないでしょ。
<追伸2>
1月16日(日)午後2時から、駒場スタジアムで「三菱OB対ザ・ミイラ」の試合が行われるはず。出場選手がまだ確定していないことやレッズが5日まで休みなので、あまり宣伝されていないが、チャリティマッチなので、ぜひ多くの方に来てほしい。
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