Weps うち明け話
#039
2日目のカレー
 カレーは作ってから2日目がうまい。残ってれば3日目でもうまい。カレーに限らずシチューでもおでんでも、煮込み料理は2日目以降の方がうまい。ただしおでんは、具によって溶けたりするので、気をつけないといけない。
 自分で料理を作っていたころ、僕は一昼夜、カレーを弱火で煮たことがある。これなら、もっとうまいだろう、と。ところがそれじゃいけないことを知った。一晩置いて、冷めたカレーを温めて食べるからうまいので、この「冷める」のが大事なのに、ずっと煮ていては時間だけたってもジャガイモや玉ネギが溶けるだけで、そんなにうまくはならないのだった。料理が冷めるときにアミノ酸がたくさん出る。それが味を良くするのだと知ったのは、かなり最近だ(「美味しんぼ」か?「ためしてガッテン」か?)。
 なるほど、温かい料理だからといって、ずっと温めているだけではだめで、一度冷めることが大事というのは、なかなか奥が深い、と思った。

 優勝を争っているとき、というのはコトコト煮ているときかもしれない。たまには吹きこぼれたりする。熱を加えるという基本的な作業がないと料理にならなないのと同様、優勝争いという精神的にも肉体的にも厳しく、マスコミからも注目を集めるような状況がチームを鍛えていくというのも間違いないだろう。
 でも、優勝が遠くなって、残りは順位を上げるだけ、という状況の中でも、もしかして8位9位を争うような状況の中でも、試合そのものにきちんとモチベーションを持って、勝つことができる、というのもチームが強くなるのに欠かせないことのような気がする。それも勝ったり負けたりではなく、たとえ優勝がなくなったとしても、関係なくきっちり連勝できるようになれば、次の優勝争いの機会には一味違ったチームになっているように思う。
 別に今のレッズにピッタリ当てはまる訳じゃない。レッズはまだ優勝の可能性を残しているし、2位ならかなり近くにある。決していったん作った料理が冷えていくような状況ではないが、G大阪戦を前にしたときとはだいぶ気分が違うことも事実だ。
 僕自身は、可能性がある限り優勝をあきらめない、というのが身に染み付いてしまっているので、「まだまだ、わからないぞ!」と声を上げなくても、そんな気でいる。もちろんこれから4連勝して他力本願を願う気持ちには変わりがない。ただ、それに加えてこれからの4連勝というのは、今季の優勝のため、というよりこれからの天皇杯、いや来季以降のレッズが、順位や相手に左右されずに力を発揮する「怖い」チームになれるかどうか。そういう熟成のための4試合だという気がしている。
 これと言うのも、一度作った熱々のカレーを食べたから言える余裕みたいなものなんだろうか。ナビスコカレーとセカンドカレー。でもサントリーカレーは食べ損なったから、やっぱりホントにうまいカレーを食べるためには一晩置いてもいいかな、と思う。
 ただし、1試合でも落としたら熟成したとは言えない気がするから、よけいに厳しい4試合だが。
(2005年11月18日)
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