Weps うち明け話
#042
シルバーコレクター
 4日の日曜日は朝イチの飛行機で島根県の益田というところへ日帰りしてきた。高円宮杯全日本ユース(U-15)選手権の初日だった。結果はレッズのホームページに(写真はもちろん僕。ジュニアユースで赤、黒、黒のユニフォームは珍しい)。
 3日、仮に素晴らしいことを祝って明け方まで飲んでいたとしても、この仕事に出かけていたことには変わりない。ただ違うのは、その場合、行き帰りの道中でも原稿に追われていたはずだが、実際は少し考える時間があったことだ。
 今季のリーグ戦、34試合に区切りを入れるとすればどこで入れるか。埼玉新聞社が毎年発行している「浦和レッズ全記録」の2005年版に、今年も書かせてもらったのだけど(自分のワガママで退職したのに、ありがたいことだ)、僕の考えで4つの時期に分けた。
 どこに入れたか詳しくは本を読んでほしいが、4つ目の期間は10月15日の柏戦からの8試合だ。レッズにとって、C大阪に負け、ナビスコ準決勝で敗退が決まり、仕切り直しの正念場になった試合からだ。優勝争いの最後のデッドヒートの時期と言っていい。レッズはこの間にG大阪、千葉に負け、肝心なときに勝ち点を積み上げられなかった。そのために首位になるチャンスは最終節まで回ってこなかったから、レッズは競り合いに弱い、という見方もできるが、この8試合の上位5チームの勝敗と獲得勝ち点を見ると

 G大阪・3勝5敗    9点
 浦 和・6勝2敗   18点
 鹿 島・2勝5分け1敗11点
 千 葉・5勝2分け1敗17点
 C大阪・4勝4分け  16点

 なんだ、勝ち数も勝ち点もレッズが一番多いじゃないか。G大阪、千葉に負けているから競り合いに弱そうな印象があったが、実は一番良い成績だったのだ。もっとも、27節以降という僕の切り取り方で言えば、だが。
 C大阪戦、G大阪戦、千葉戦。この3試合が終わるたびに「浦和、終戦」みたいな話が流れた。そのたびに次の試合で復活し、可能性をつないで来たのだから競り合いの状況で決して弱い訳ではない。もっとも相手に恵まれたとも言えるが。
 逆にこの時期、8試合で勝ち点9しか挙げられなかったG大阪は、つば競り合いに弱く、リーグ中盤戦の貯金がモノを言ったという分析もできる。8試合で負け越してはいないが引き分けが5つもある鹿島も同様だ。決してそれが悪いなどとは言ってない。リーグ戦は34試合トータルの勝ち点で優劣を競うのだから。

 「シルバーコレクター」という言葉がある。銀メダルは複数持っているが金メダルは取ったことがない競技者を指して言う、9割の揶揄に1割ぐらいの敬意が交ざった言葉だ。「ブロンズコレクター」も、もちろんある。
 レッズは2003年のナビスコ優勝があるからシルバーコレクターではないが、この4年間にナビスコで2回、リーグ(年間)で2回、計4回の2位がある。3位は2回だ(04年天皇杯と05年ナビスコ)。
 4回のうち3回は、決勝で負けて2位になった。全然うれしくない2位だった。
 今年の2位は最後に勝って得た。結果的に優勝できずに悔しい思いはしたが、過去3回の2位とは違った気分だった。たぶん上の数字を体で実感していたからだろう。よく追い上げた、と。この8試合は毎試合のように誰かが出場停止の上、達也、平川、内舘、永井らがケガで欠場した試合が多かった。リザーブの選手の顔ぶれを見れば、やりくりの大変さがわかる。その中で6勝2敗という成績を残したのは総合力の勝利だと言っていいはずだ。

 今季は勝つべき試合で勝てなかったこと、取るべき点を取れなかったこと、与えるべきではない点を相手に与えてしまったことなどは、きちんと課題として残し、今後修正すべきだ。同時に、最後の時期に粘れた原因も分析して来季以降に残していかなくてはならない。
 選手は、闘莉王の言うように「満足はできないが、納得はして」もいい。だがクラブは4個目のシルバーに納得しないでほしい。
 赤いユニフォームに最もよく似合うのは金メダルだろう。
(2005年12月5日)
〈EXTRA〉
 #041・EXTRAで募集した「2005レッズサポーター望年会」は、現在約130人の応募があります。まだ定員まで達しませんので、12月11日(日)の24時まで応募を受け付け、それで締め切ります。二次募集の定員は70人です。締め切りまでに定員を超えた場合は二次募集の中で抽選させていただきます。応募要領は#041・EXTRAをご覧ください。
 なお、すでに応募した方については抽選しません。念のため参加受付メールを返送します。6日までにメールが届かない方は連絡ください。
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