3月11日、土曜日のジュビロ磐田戦。後半に平川がアレックスと交代で入った。「3-0で左に平川?相馬じゃないのか…」。2週間前のゼロックススーパーカップ、後半3-1の場面でガンバが右サイドに加地を入れてきたとき、レッズは左のアレックスに代えて、相馬ではなく細貝を入れた。左サイドの守備を考えて、ということでその試合は勝った。期待の新戦力、相馬の出番はお預けになった。次のリーグ開幕戦でも相馬はベンチで試合終了のホイッスルを聞いた。11日は、3-0とほぼ安全圏にいたから今度は相馬が出るものだと思っていた。平川に何の不満もないが、ここで出なかったら相馬はいつ出るんだ?と不思議だった。
僕は見ていなかったが、サポーターには平川がスタンバイしているとき、交代ボードに「6」と出ているのが見えたらしい。右の山田に代わるのに平川が準備しているときにアレックスが痛んだ。そこで急きょ交代する相手を山田からアレックスに変更した、という訳だ。その数分後、相馬が山田に代わって入り、平川が右、相馬が左という布陣になった。
右、左、どちらでもできる平川は麻雀でいうと「両面待ち」だ。それも「四・五万」の両面だと思う。レッズに入ったときは右しかできなかった。すなわち「一・二万」のペン三万待ちだった。それがレッズに入って左をやらされるようになった。四万が入って一万を切り、「二・四万」のカン三万待ちの時期がしばらく続き、最終的に五万を引き「四・五万」の両面待ちになったのだ。
引き続き麻雀でいうと、今年のレッズは面子オーバーだ。アガルには面子をいくつか落としていかなければならない。つまりフィールドプレーヤーだけでも永井、平川、黒部、相馬、岡野、内舘、酒井といったバリバリのスタメン候補をベンチに入れておかなければならない。今季から登録枠が18人に増えたのは監督にとってはありがたいことだろう。ベンチに入って出場なし、という選手も増えることになるからコンディションを作るのに問題はあるかもしれないが。
さらに麻雀でいうと今季のレッズは「多牌」かもしれない。麻雀では手牌が1枚多いだけで圧倒的に手作りが有利になる。以前にも書いたが、今季のレッズは登録36人(二種の大谷を除く)のうち、去年公式戦に一度でも先発したことのある選手が26人いる。それだけで「多牌」と言っても間違いではない。
だが僕はもっと深い意味で使いたい。FWの代わりにFW、センターバックの代わりにセンターバック、というだけなら、「選手層が厚い」というだけだ。最初に挙げた平川のように、右サイド、左サイド、あるいはストッパーもOKという選手が数人いるのが強い。永井もFWのほか、右ウイングバック、トップ下をやれる。長谷部は中盤で前をやったり後ろをやったりの他、左サイドもやった。内舘や堀之内が守備的MFもストッパーもリベロもできるのも心強い。ギド監督は「今季のレッズは一つのポジションに複数の選手がいて競うことになる」のがポイントだと述べたが、僕は同時に「複数のポジションをこなせる選手が何人もいること」も強みに加えたい。
麻雀で最も重要な牌は「三」と「七」だと言われる。「三」と「七」はタンヤオにもチャンタにも使える。一気通貫には欠かせないし、三色にもなりやすい。もちろん暗刻にもアタマにもなる。4枚あってさらしていなければ、相手の手作りを邪魔することにもなる。してみると、GK以外のポジションを全部やれる山田暢久はさしずめ「三万」かもしれない。
ときどき注意力がサンマンになるのは昔の話だ。
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