Weps うち明け話
#102
スーパーカップ
 やっぱり応援するチームが強くならないと、駄目だなあ。
 かつては横目で見ていたり、わざと関心のないフリをしていたものがだいぶあった。
 たとえばチャンピオンシップ。ナビスコカップの準決勝や決勝。天皇杯の準々決勝や準決勝(決勝だけはテレビで必ず見た。たいてい酔っ払ってたが)。あと2000年のシドニーオリンピックも、見てはいたがオリンピック好きの僕にしては、ちっとも真剣に見ていなかった。レッズが「それどころではない」状況だったし、小野伸二も出ていなかったから。
 そしてゼロックススーパーカップ。
 こっちはこっちで、たいていプレシーズンマッチを1試合やっていたが、プレシーズンマッチではない公式大会がJリーグ開幕前にあった。それもJリーグ優勝チームと、天皇杯優勝チームの対戦。け!こちとらには縁がねえや、と思っていた。強いて言えば、どちらかのチームとリーグ開幕戦で当たる予定のときは、「誰か退場にならんかな」とさもしい気持ちでいたぐらい。それにしても見たことはなかったと思う。

 それが2年連続レッズが出場することになって、いろいろと調べてみてスーパーカップに対する認識が変わった。というのも、同じ思いを抱いた人は多いだろうが、「Jリーグチャンピオンと、天皇杯覇者が雌雄を決する大会なら、もうやらなくていいじゃないか。両方ともレッズが優勝したんだから」という疑問を持ったからだ。僕のその不満は的外れであることがわかった。
 ゼロックススーパーカップには「KING OF KINGS」、王者の中の王者というキャッチフレーズがついてはいるが、それは対戦カードの性格を表わしているだけであって、大会の目的を表わしたものではない。つまり「雌雄を決する」のが目的ではないのだ。
 もともとスーパーカップは、リーグ戦開幕を前にして「さあ、もうすぐリーグが始まるぞ!」「今年もリーグはこんなに面白いぞ!」というお披露目試合の意味がある。今年のリーグ戦の面白さを世間にアピールするのだから、最も面白いカードでなくてはならない。すなわち前年のリーグチャンピオンとカップウイナーという2つの強いチームがぶつかるのが一番いいだろう、ということだそうだ。つまりは模範試合と言ってもいいのか。だから、この日はたとえ北海道だろうと九州だろうと、プレシーズンマッチをやってはいけないことになっている。大変、名誉なことなのだ。

 だから「2つともレッズが勝ったんだからもういいじゃん」ではなくて、日本を代表する2つのクラブが対戦しなくてはならないのだ。
 昨年、このゼロックスで当たったレッズとガンバ。この大会のあと、両チームは公式戦で3回ぶつかってきたが、まず「1試合先行のJリーグ開幕戦」、そして「優勝がかかったJリーグ最終節」、最後に「天皇杯決勝」と、そのいずれもがその時期に日本で行なわれる最も重要な試合だったのは、日本のサッカーがこの2チームを中心に回りだしたということだろうか。
 前回のゼロックスでは、ガンバは様子見の印象が強かった。一週間後のリーグ開幕で勝つほうが大事だ、という気持ちがありありと見えた。今回はそうはいくまい。なにしろここ4試合でレッズの3勝1分け。2005シーズンはリーグ戦で2回当たってガンバが1勝1分けだったから、この1年間の星には我慢がならないはずだ。ガンバにとっては前回大会の雪辱ではなく、1年間の雪辱と今季の巻き返しへのステップがかかっている。
 それはレッズも同じ。ゼロックス連覇。それもいい響きだし、国立の表彰台は何度上がっても気持ちがいい(準優勝で上がるのは階段がつらいだろう)。だが大会の連覇よりも対ガンバ負けなし記録の継続は、今季のリーグ制覇にとっても大事なことだ。そしてレッズは阿部、ガンバはバレーという、昨年にはいなかった強力な新戦力がいる。それも大きな楽しみだ。

 この1年間に4回の“死闘”を繰り広げてきたレッズとガンバ。今回は、両チームがさらに高いステージでの戦いを繰り広げる、その幕開けになる。レッズにとっては昨季より厳しい戦いが続くシーズンの緒戦だ。負けたくない。
(2007年2月9日)
〈EXTRA〉
 坪井慶介に取材で聞いた。「今季の楽しみは何?」
 しばし考えた坪井。「来年のオフ」
 こんな冗談が飛び出すほど、今季の日程は途中のオフがない。特に代表選手になると年間何試合あるんだろう?1年だけなら何とかなるが、2年連続オフが短いのは大丈夫か?と思ってしまう。
 それは選手以外の関係者も同じ。始まってしまったら、途中でタイムがかからない状況だ。MDPはACLでも出すし、アジアへの出張が何回もある。ボリュームアップの準備もしなくてはならない。
 だから、先週の更新抜け、ごめんなさい。
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