Weps うち明け話
#225
引退したOB
 宮崎キャンプ最後の練習試合、1月23日の鹿屋体育大戦で達也も高崎も得点したようだ。達也は17日、20日の試合で連続2得点、高崎も20日の試合で2得点したが、少し筋肉に張りがあって21日の広島戦を休んだ。22日の午前中は練習に復帰していたので、あまり心配はしていなかったが、実戦はどうかなと思っていたので23日の結果をオフィシャルサイトで見て安心した。
 身体に少しでも違和感があればそれを指導者に報告し、休むことも必要。スポ根ドラマでは考えられないようなフィンケ監督の指導は徐々にチームに浸透しているようだ。
 悪い動きではなかったが3試合ゴールがなかったエジミウソンも2得点したようだし、新戦力の柏木も移籍後対外試合初ゴールを挙げた。大学生相手の練習試合とは言え、攻撃陣は得点すれば気分は良いし、守備的な選手は無失点に抑えなければ悔しい。そういう意味では一次キャンプの良い締めになったと思う。二次キャンプの指宿では、プロチーム相手の練習試合も予定されているようだし、次の段階のプレーが求められるだろう。

 鹿屋体育大との練習試合を見られなかった理由は、その日に駒場スタジアムで行われた、「さいたまホームタウンサッカーフェスタ」の浦和レッズOBスペシャルマッチを見るためだ。
 その日の朝、宮崎を発ってギリギリに駒場に到着。“元”選手たちがゾロゾロ並んでいたが、パッと見ただけでは誰だかわからない人、じっと見てもわからない人がいた。最近でもおなじみの人も半分くらいいた。総勢で47人のOBが集まったらしい。それを聞いて、少し感慨があった。

 浦和レッズOBチームの試合、というのはこれまで何度か見た。だがピッチでプレーしている人たちは、多くが三菱サッカー部OBであっても浦和レッズのOBではなかった。クラブスタッフとして顔を知ってはいても、選手としてプレーしたのは三菱時代であり、レッズのユニフォームは着たことがない人を「浦和レッズOB」と呼ぶのは無理がある。また間違いなく元レッズ選手であっても、コーチやスタッフでクラブに残っている人ばかりで、「OB戦」という言葉の響きが持つ「懐かしさ」とか「同窓会」的なムードが、僕には感じられなかった。

 1月23日に感慨深かったことは2つ。
 レッズもこういう試合ができるだけの歴史が築かれてきたんだ、と実感したから、というのがまず1つだ。“純粋”レッズOBだけで47人。ポジションを考えなければ3チームで三つ巴戦もできるほどだ。現役時代、一度もトップの公式戦に出場しなかった人もいるが、オールドファンにはそれでも十分懐かしい。
 2つ目は、まさにそのオールドファンから最近のファンまで、6千人を超える観客が駒場を訪れたことだ。もちろんキャパシティの2万人からすれば少ないが、こういう試合を見て思いを共有できる人が6千人もいる、というのはうれしい。

 さて、試合が終わってから、内舘秀樹の感謝セレモニーがあった。13年間レッズに在籍し、数々の優勝を果たした時期にはほぼレギュラーとして経験。初戴冠のナビスコ杯はキャプテンとしてカップを上げた内舘と、彼を支え続けたファン、サポーターがお互いに感謝し合うという機会があったのは良かったと思う。
 セレモニーが終わって思った。この日はOB戦の前に、西谷正也、桜井直人へ引退記念の花束が贈られたが、こういう機会を全レッズOBにまで広げてもらえないものだろうか、と。
 OB戦もまた見たいが、毎年こういう催しができるかどうかわからない。だから、たとえばレッズフェスタで、前年までにプロを引退した元レッズ選手を招いて、そこで挨拶する機会とファン、サポーターが拍手する機会を設けるのだ。もちろん、レッズで引退した選手だけでなく、その後どこかへ移籍した選手も含めてだ。
 選手がレッズを去るときは、いつも円満な形とは限らない。ギクシャクした形で移籍していくこともある。そういう選手はたいてい、主力として活躍した時期があるから思い出も多い。それだけに素直に送り出す気持ちにはなりくい。しかし、時間が経てば感情も変わる。引退したあとはライバルでもない。レッズ時代の活躍を感謝する機会はありがたいはずだ。
 レッズのトップでは輝けなかった選手にしても、思い出はある。試合に出なくても何らかの形でチームへの貢献をしてくれた選手なのだ。

 僕は、レッズというクラブは選手を大事にする方だと思っている。異論もあるかもしれないが、少なくとも契約満了の選手に対して、何のあてもなくただクビ、という対応は、ここまではしてこなかった。東奔西走して、行き先を探すスタッフの姿も見ていた。
 だから、もう一歩進めて、その後もずっとレッズファミリーの一員として考えているよ、というところを見せてほしい。
 クラブの力は、つまるところ人間の力、マンパワーだ。現在いるスタッフだけでなく、スタッフOB、選手OBもいざとなれば力を貸してくれる存在として大事にしておくことは、これから綿々とつながっていくレッズの歴史を見通したときに、重要なことになっていくと思うのだ。
(2010年1月29日)
〈EXTRA〉
 一昨年からレギュラーコメンテーターをやらせてもらっているNHKさいたま局の番組「週刊サッカー王国」の“オフ会”なるものが、2月6日(土)にある。電波メディアであるラジオの“オフ会”というのがよくわからないが、要はリスナーの前で生トークをやり、その後交流もしようというものだ。
 そういえば、以前よくやっていた「トークライブ」を最近は全くやっていない。もうシーズン前にやるのは難しいだろうが、今季は中断期間も長い。そのときのタイムリーなテーマで久しぶりに「トークライブ」をやってみるのもいいな、と思った。
 それまで待ちきれない人はこちらで。
http://www.nhk.or.jp/saitama/
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