Weps うち明け話
#226
20周年
 2010シーズンの浦和レッズ・オフィシャル・サポーターズ・クラブ(OSC)のキャッチフレーズは「KEEP REDS ON」になった。

 このOSCのキャッチを決めるにあたって、僕はまったくタッチしていない(年末の望年会でゲームのネタにしたことはあったが)ので、毎年楽しみにしている。非常にそのシーズンの状況を反映しているというか、クラブの期待が込められているフレーズだからだ。
 オジェック監督が最初に就任した95年は「RISING REDS」で、初の外国人監督を招いて過去2年連続最下位から、いよいよレッズの夜明けが来るぞ、という期待が込められていたし、J2で戦うことが決まった2000年の「Walk on together」は、意地悪く言えば「見放さないで一緒に歩いてね」という切なる願いを感じた(笑)。

 MDPの最後に僕が毎回書いているコラムのタイトルは、毎回このキャッチフレーズをもじって作っている。年によっては非常に苦労してつけたときもある。2000年の「Walk on together」のときは簡単だった。「Talk on together」。今では年2回のトークイベントのタイトルになっているが、相談された記憶はない(笑)。
 面白いと思ったが、採用するかどうか悩んだのが99年の「Football people's wonderland」。「Football」の「tbal」を薄い字にして「Fool」と読めるようにしたのだった。どこからも抗議が来なかったのは、ジョークを認めてもらえたのか、まったく意識されていなかったのか。

 今季の「KEEP REDS ON」は、レッズであり続ける、という意味らしい。「ブレない、ってことですよ」と担当する運営部のスタッフは言っていた。ブレない、は昨季ずいぶんレッズ周りでも流行した言葉だが、なぜ今季がこのキャッチなのかというと、実はレッズがOSCの制度を初めて今季が20年目に当たる。時代とともにいろいろなものが変化する中でも、変わってはいけない部分が浦和レッズにはある、ということを節目の年に強調したということだ。

 機構としてのJリーグの歴史が92年からなのに、OSCは91年からスタートしている、というのが何ともレッズらしい。当時の担当者、佐藤仁司さんの発案だった。
 実は僕もOSCを作っていた時期がある。92年のオフィシャルハンドブックの最終校正のときに、たまたまレッズの事務所にいて、「いま申し込めば、ここに名前が入るよ」と言われて、入れてもらった。完全なインサイダー取引、ズルである。しかも実質、数日間しか残り期間がなかった。動機はやや不純だったが、それでも数年間は継続していたように思うが、いつからか脱退(?)してしまった。

 そうか、20年目か。
 オフィシャル・ウェブサイトの「クラブ」にカーソルを合わせると、「オフィシャル・サポーターズ・クラブ」のボタンが現れ、そこをクリックするとOSCの詳しい説明が出てくる。その中に、毎年の登録クラブ数と人数の表がある。クラブ数は94年の5,211がピークで、その後落ちている。この理由は何となくわかる。シーズンが進んでスタジアムで仲間が増え、独自のグループが出来上がっていくと、必ずしもOSCに登録しなくても、熱く応援できることがわかるからだ。
 そのとおり、レッズのOSCにはあまり特典らしいものはない。オリジナルデザインの非売品のフラッグは十分特典に値すると思うが、それも3人に1本だ。どちらかというとサポーターとクラブの精神的な結びつき、心の絆を表わすのがOSCだろうと理解している。その点では99年から昨年まで上がり下がりしながらも、一定数を保っているのは、すごいことだと思う。
 ただ昨年、93年以降初めて3千の大台を割ったのは少し寂しい。チームの成績が反映しているのだろうとは思うが、20周年の今季、何とか盛り返してほしい。

 伝統と改革、というと最近の日本相撲協会を思い出すが、どういう団体にも守るべき伝統があるし、前進していくために改革しなければいけない部分がある。「KEEP REDS ON」のKEEPすべき部分は何なのか。20周年を機会に考えていく年にしたい。
(2010年2月5日)
〈EXTRA・1〉
 20周年の今季、OSC登録者にはオリジナルニットマフラーが贈られる。いつぞやの天皇杯優勝記念で売られて悪評だったものとは違い(笑)、「本物の」ニットマフラーだ。実は1月14日のスピラノビッチの記者会見のときに、彼がそれを首に巻いて出てきたのだ。僕はすっかりレッドボルテージで売っているものだとばかり思ったほど。
 嫌らしい言い方をすれば、登録料の1,000円では普通買えないシロモノだし、もちろん非売品。あまりグッズに執着しない僕だが、これは欲しい。10数年ぶりにOSCに登録しようと思っている。どこかに入れてもらうか、自分で新しく作るかは考え中。
写真 記者会見のスピラノビッチ。オフィシャル・ウェブサイトには今年20歳になる選手たちがモデルになった写真がある
〈EXTRA・2〉
 昨年末の「#218」で募集した「私の1999.11.27」は、2月8日が締切です。お待ちしています。
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