Weps うち明け話
#240
土産はこれ
 韓国に行ってきた。

 これまで海外での親善試合は取材に行ったことがなかった。たとえば04年のボーダフォンカップ(イングランド・マンチェスター)、07年のブルズカップ(オーストリア・ザルツブルク)などだ。2000年の日蘭修交400年記念「アヤックス対浦和レッズ」には、レッドダイヤモンズ後援会の応援ツアーで行ったが、そのときは取材はしていない。
 もともと埼玉新聞社時代は、親善試合の取材のために海外に行く、というのが経費の関係上できなかったし、05年に自分がフリーになってからも、次のMDPまでに間があきすぎていたりして、無理して海外に行くこともないな、ということがあった。
 今回の水原三星戦も、かなり近くなってから耳にしたこともあり、7月24日(広島戦)のMDP370号の前にリーグ再開のG大阪があるので、サポーターの気分はすっかり公式戦モードだろうから、取材に行くのに二の足を踏んでいた。
 そもそも6月19日からオーストリアでキャンプを行い、7月1日に帰国して2日間オフ、4日に練習再開で5日にザスパ草津とプレシーズンマッチ。さらに10日に韓国に渡り、11日に水原三星ブルーウイングスと親善試合。正直言えば、2試合ともホームゲームではないから、レッズから積極的に企画したものでないことは明らかで、18日に公式戦再開を控えたスケジュールにしては無理があると思っていた。それでも試合を受けたのは、クラブが諸事情を勘案したものなのだろう。
 これまた諸事情により、僕が水原戦の取材に行くことになったのだが、MDP改善アンケートを実施したりして、再開に向けて準備を急ピッチで進める時期であり、1泊2日とはいえ日本を離れたくはなかった。ワールドカップの3位決定戦と決勝の日でもあるし。

 昨日は、やや重い気持ちと非常に重い機材を抱えて羽田からソウルに飛び、そこからバスで水原に向かったのだが、今朝、水原からソウルに行き、羽田に帰ってくる道中はだいぶ心情が変わっていた。行って良かった、という思いになっていた。
 一つには試合内容だ。5日の草津戦は大雨でコンディションが悪いことに加え、キャンプの疲れも残っていたらしく、あまりレッズの良い場面を見ることができなかったが、水原戦はだいぶ向上していた。直輝が去年の動きをかなり取り戻して、攻守に(相手にとって)嫌な動きをしていたし、もう少しでゴールという惜しい場面も一度ならずあった。久しぶりに見た梅崎は、10分程度だったが、ボールに良く絡んでチャンスを作っていた。阿部もレッズでは久しぶりの試合だったが、バランス重視のプレーから徐々に攻撃に絡みだし、後半は惜しいジャンピングボレーシュートも放った。センターバックに入った堀之内は、相手の攻撃を最後までつぶし続けた。見どころのあるスコアレスドローで、写真を撮っていて試合が終わるのを早く感じた。
 そして、もう一つ。試合前にいきなり襲ってきた感情なのだが、「来年はACLで韓国に来たい!」と強く思った。07年はACLとA3で、計7回も海外に取材に行った。親善試合ではない真剣勝負。特にノックアウトステージで行った全州と城南は、自分でもピリピリしていた時間が長かった。あの感覚を思い出したのだ。来季のACL出場権獲得は、今季の重要な目標だが、絶対にそれを達成したいという思いがフツフツと沸いてきた。僕がそうなのだから、選手で07年を経験している選手の多くも同様の感覚を持ったのではないか。少人数ながら熱く応援していたレッズサポーターもそうだろう。ACLに出場すれば、今のレギュレーションでは同じグループに必ず韓国のクラブもいるはずだ。

 18日からは、目の前の試合に勝つことが目標になるが、その先にあるACLという舞台。そして日本が2年連続出場しないFCWCという大舞台。時間の経過とともに記憶が薄れていきそうな、あの舞台に立つ魅力を再び鮮明に頭に刻み込むことができたと思う。何としてもACL出場権を。
 12日の16時半現在、身体はかなりヘトヘトではあるが、気分はかなりJリーグ再開モードになってきた。
 両替したウォンもだいぶ残っているし。
(2010年7月12日)
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