Weps うち明け話
#247
終盤の心持ち
 今朝、ふと思った。
 スタジアムでの試合時間表示は45分を過ぎると消えるが、テレビ中継の画面では「46分」とか「92分」のようにそのまま時間を積み重ねていって、下に「アディショナルタイム+何分」と表示している。それはわかりやすくていい。
 サッカーが90分のスポーツと言われても、実際の試合時間は必ずそれより長く、さらに本当にプレーしているアクチュアルタイムは50分から60分であることも、最近では知られている。だから「90分間集中して」ではなく、「90分+数分、集中して戦う」ことが必要なのだ…、待てよ。
 あのテレビ画面にある「91:15」というような秒まで見せる時間表示は、実際の試合時間を示しているように思えるが、あれには前半のアディショナルタイムが含まれていない。前半も同様に「46:42」などと、アディショナルタイムに入ってからも時間表示は進んでいたのに、後半開始がまた「45:00」から始まるからそうなる。実際の試合時間は、90分に前半と後半の実アディショナルタイムを足したものなのだ。気をつけないといけない。

 こんな、今さら何をというようなことに思いがいくのも、このところレッズが、安心して終盤を見ることができないからだ。
 9月25日の新潟戦は2点差があったから、よもや、とは思っていたが、かつては2点差を最後に引っくり返された経験もある。ましてや10月2日の大宮戦は2-1であり“天敵”ラファエルも健在だった。まったく今季の清水戦、G大阪戦、鹿島戦で刻まれた傷は深い。大宮戦の最後のコーナーキックなど、カメラをのぞきながら息を止めて祈っていた。
 逆に06年は、1点差で負けていても最後には何とかなる、という確信のようなものがあったし、実際に追いついたことも少なくなかった。今とは大違いだ。

 だが、その「負けない」確信がいつごろから生まれたのか、と言われると定かではない。試合のデータを見れば「この辺りから」と言えなくはないかもしれないが、本当にそのころ負けない確信を持って試合を見ていたのかというと、違うと思う。やはりハラハラしてはホッとする、そういう繰り返しだったに違いない。そしていつの間にかチームが自信を持って戦えるようになり、それを僕たちも安心して見ていられるようになった。そうではなかったか。
 現在リーグ戦7試合連続負けなし。残り数十秒で勝ちが引き分けになった鹿島戦が含まれているから、負けなし、と言うときにはちょっぴり悔しさも含まれている。だから誰も大喜びはしていない。実際、新潟戦も大宮戦も「勝ち倒した」とはとうてい言えない試合だった。
 しかし、こんな試合を続けていくうちに、いつの間にか終盤の不安がなくなり、逆に自信に変わっていく。そういうものかもしれない。
 今はそんな先のことまで考える必要はない。そもそも考える余裕がない。
 ユースの矢島倫太郎やケガ明けの梅崎まで、出られるフィールプレーヤー総出だった大宮戦。
 次の天皇杯徳島戦では、そこから細貝とサヌが代表で抜ける。ロビーが大きなケガでなく戻ってきたとしても、それ以外のケガ人が復帰してこないと、18人もそろわない。さらにその5日後には勝点6差で上にいるC大阪との一戦が控えている。自転車操業のような試合が続く。
 いる選手が試合に臨み、出た選手が責任を果たす。そうやって乗り切っているうちに、チームは変化していき、立つ位置も変わっていくに違いない。
 2か月後の今日は、どんな日曜日になっているだろうか。

 あ、いや。2か月更新しない、という意味ではなく。
(2010年10月5日)
〈EXTRA〉
 MDPでは本文中の試合時間の表記をいまだに前半、後半で書いている。記録では90分制にしているが、試合の流れを思い浮かべるときには前半、後半にした方がイメージ的にわかりやすいと思うからだ。しかし、ほとんどの媒体が90分制で表記している昨今、MDPだけが頑固に前後半のままでいいのか、それとも逆にMDPだけでもその表記を続けた方がいいのか、来季には考えなくてはならないと思っている。
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