Weps うち明け話
#257
戦うのは誰か
 ええと、達也とセルヒオの2トップにして、2列目の左に原口、右に直輝。ボランチは柏木と啓太…。あれ梅崎が入らないな。仕方ない、リザーブで。守備ラインは左から永田、濱田、スピラ、平川で、GKが加藤。リザーブは梅崎と高崎、林、大谷。
 夜、飲みながら考ええた布陣ではない。24日、大原で練習している選手たちを見てポジションを当てはめてみると、ちゃんと問題なくスタメンが組めた。前日のマリノス戦で長い時間出場した11人は、自転車でクールダウンに出かけている。いま目の前でプレーしているのは15人。つまり26人のうち別メニューの選手が1人もいないのだ(ユースの矢島君を除く)。
 こんな日、前はいつあった?とオフシャルライターに聞くと「夏場に2日くらいありました」。そのこと自体は笑えないが、今の状況は喜んでいいことだ。次の川崎戦、ラストの神戸戦のメンバーにどれだけ変化があるかはわからないが、12月25日の天皇杯準々決勝は、だいぶ厚いメンバーの中から選ばれた選手たちで戦えるだろう。
 GKを入れて7対7のゲームが始まった。ナイスパス、ナイスシュート、ナイスセーブ。昨日試合に快勝したことが影響しているのか、みんな伸び伸びプレーしているように見えた。だが…。

 もしかしたら、この中に来季レッズでプレーしない選手がいるかもしれない。ロビーはすでに発表されたが、ほかにも移籍していく選手がいることは十分考えられる。今はそういう時期だ。
 しかし、もし移籍するにしても、この世界から引退するのでなければ、しっかり練習をしておかなければいけないし、残り試合に自分が出ることを目指さなければならない。プロとしてのキャリアはどこで積もうと自分の財産として残っていくのだから。そして今年いっぱいは、赤いユニフォームを着る義務と権利がある。
 サイクリングで身体をほぐした11人が戻ってきた。グラウンドでストレッチをしながら、仲間たちのミニゲームを見ている。
 天皇杯が終わるまでは、この26人全員が浦和レッズの一員だ。これ以外にピッチで戦う選手はいない。総力戦の準備が整いつつあるムードを感じだ。

 昨日、日産スタジアムから帰るとき、“戦力外の選手で勝った”とかいう見出しをつけるスポーツ紙があるんだろうな、と思っていたら、本当に今日の某紙がそうだったので、笑いを通り越してあきれた。
 あきれた理由は2つ。まず、素人が思いつくまんまの“ベタな”見出しだったから。
 もう一つは、 ロビーは何も今季“戦力外”とされているわけではない、ということ。詳細な理由までは発表されていないが、年俸のことや、来季1年間通したパフォーマンスのこと、それに伴い外国籍選手枠のこと…、総合的な理由で「来季は残念ながら契約しない」ということになったはずだ。クラブのその決定にロビーが満足するはずはないが、決まった以上、今季の残り試合にプロとして全力を尽くす、とサポーターにも約束してくれた。サポーターも、ロビーに天皇杯を掲げさせよう、と思っているはずだ。
 まるで「アンタ、“戦力外”なんだから、そんなに頑張らなくてもいいんじゃない」とでも言いたげな記事で、久しぶりの快勝に水を差したいのだろうか。

 この時期は来季のチーム体制がどうなるのか、選手もコーチングスタッフもサポーターも一抹の不安と疑問を抱えながら戦っていくことが多い。だから、勝つためにはより強固な結束が必要になる。
 監督問題もかまびすしいし、クラブの方向性に疑問を呈するような意見もあるようだ。
 でも。こう思う。
 たとえ、今のレッズが勝つと面白くないと思っている人が相手チーム関係者以外にいたとしても、その力は試合中のピッチにまでは届かない。試合が始まってしまえば、ベンチを含めたチームとスタンドから応援するサポーターだけが勝敗に関われる。
(2010年11月24日)
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