Weps うち明け話
#266
細貝 萌
 直感というのは当たるものだ。
 最初に感じたのは10月ごろだったが、細貝萌のコメントに「あれ?」と思ったことがあった。リーグ戦でのACL出場権獲得を目指していたとき、そのことを聞いたときに「あと○試合、浦和レッズの一員として…」という言葉があったのだ。
 同じようなことが何度かあり、ある人に仕事の関係で「細貝選手は来年もレッズにいますよね?」と尋ねられたとき、「レッズが嫌で出て行くことはないだろうけど、海外移籍ならないとは言えない…」と答えた。だから移籍報道が最初に出たとき、ああやっぱり、と思った。今季でレッズのユニフォームを脱ぐ覚悟をしていたから、そんなことを匂わす気はなくても、言葉に出てしまったのだろう。
 そのことを本人にぶつけると、「複数のクラブから話があって、移籍するということが現実的になってくるとどうしても…」と、当時の気持ちを思い出したのか、少し照れながら答えてくれた。
 12月27日(月)、行われた記者会見の模様はオフィシャルにアップされるだろうから詳述しないが、一番悩んだのはレッズで自分が結果を出していないまま移籍してしまうことだったらしい。05年、06年の天皇杯優勝には、細貝の貢献があったと僕は思うが、それでは満足できないようだ。だから余計にリーグ戦の残り試合で3位以内に入りたかったのだろうと思うし、天皇杯でも優勝したかったのだろうと思う。
 将来、日本に戻ってきたとして、またレッズを選ぶ可能性は、と会見で聞かれ、本人は「そのときに自分を必要としてくれれば」と答えた。僕も今の時点では、そうして欲しいと思うし、彼がそう答えてくれてうれしい。だが冷静に考えると、これからレッズと細貝の勝負になる。レッズは、細貝が日本に戻ってきたときに「ここでぜひプレーしたい」と思ってもらえるようなクラブになっているかどうか。細貝は「日本に戻ってくるなら、ぜひうちへ」とJの多くのクラブからオファーが来るような選手になっているかどうか。
 細貝萌がヨーロッパでも日本代表でも大活躍すること、そして数年後は、そんな彼を必要としないほど強く、しっかりしたクラブに浦和レッズがなっていること、この両方を欲張りな僕は期待したい。
(2010年12月27日)
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