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Weps うち明け話 #1017

週2の記憶(2020年3月27日) 

 

 レッズは3月26日(木)から8日間という長めのオフに入った。25日(水)がオフ前最後の練習だったが、紅白戦でのスピード感や連係は上がっていると思えた。#1016で書いたように、球際での強さが3週間前よりやや低くなっているように見えたのは、やむを得ない部分もある。練度は確実に向上しているのだから、強度に関しては対外試合で発揮するなり、公式戦が視野に入ってから上げていくなりすればいい。大事なのは今季から取り組んでいる新しいシステムでのオートマチックな連動性を高めていくことだ。モチベーションが上がったときに、どれだけ強いプレーができるかは、実証済みなのだから。

 

 25日の紅白戦では武富孝介が復帰していた。聞けばその前日から全面合流していたという。

 #1003で書いたように、武富が本来のプレーを取り戻せば実質的には今季の戦力補強に等しい。足のケガの治り具合と相談しながら、上げていくことになると思うが、今は焦っても出る試合がないのだから、本人にとってはじっくりリハビリして完璧になる良いチャンスだろう。

 

 練習をしていれば何パーセントかの確率でケガ人は出る。この中断期間中も「コンディション調整」ということで、全体練習から外れる選手も少しはいたが、大きなケガはなさそうだから、武富が復帰したことで、このままならレッズはほぼ全員が臨戦態勢で再開を迎えることができるように思う。

 

 2月26日(水)を含め、延期になったのは16試合だ(リーグ戦11、カップ戦5)。この16試合は東京五輪のために中断の予定だった7月中旬から8月中旬の期間を中心に、試合ができる日にはめ込んでいくことになるだろう。

 レッズの場合、リーグ戦が残り33試合、カップ戦が決勝まで入れて12試合(グループステージ5、プレーオフ2、プライムステージ5)、天皇杯が予定より1試合減って決勝含め5試合。総計、最多で50試合を5月10日(日)から来年1月1日までの間に行うことになる。約34週で50試合。単純に計算すると、4.76日に1試合。だいたい2週間で3試合ぐらいになる。代表ウィークなどが入ってくると、ほぼ週に2回の公式戦があり、たまに1回だけの週がある、ということになるだろう。机上の計算では何とか延期分は収まりそうだ。5月9日(土)再開ならば、だが。

 

 思い起こせばJリーグがスタートした1993年。

 リーグ戦は10チームが4回総当たりしたから全部で36試合、チャンピオンシップが2試合、Jリーグカップは予選リーグから決勝まで7~8試合、天皇杯が5試合で、総計50~51試合。そしてFIFAワールドカップアメリカ大会のアジア予選のため、開幕は5月15日だった。

 つまり今のところ(J1が5月9日再開として)、今季の残り公式戦開催期間と試合数の関係は93年のそれとほぼ同じなのだ。

 

 レッズの公式ウェブサイトで当時の試合スケジュールを見ると、5月16日(日)の開幕戦から第1ステージ最終節の7月14日(水)まで、見事に週2回のサイクルで18試合が行われている。第2ステージは、さすがに真夏の暑さやシーズン後半の疲れを考慮したのか、毎週2回ではなくなっている。9月3日(金)から11月6日(土)まで約2か月の中断があるのは、ワールドカップ最終予選の時期で、この期間にJリーグカップの予選リーグが日本代表選手抜きで行われた。

 初めてのプロリーグで選手たちは張り切り、中3日、中2日の試合をこなしていったが、第1ステージではJリーグ全体としてもケガ人が多かったと聞く。MDPも当然そのペースで、第1ステージは開幕から2か月間で9回の発行だったのから、ページが今の半分だったとは言え、インターネットやデジタルカメラのない時代によくやれたと思う。

 

 話を現在に戻す。

 日程を組み直している(もう取りかかっているだろう)Jリーグ事務局は大変だと思う。そして日程が決まり、再開されたら今度はクラブとチームが大変になる。これまでも長い連戦はあったが、ここ数年の中で最も過密日程になるのではないか。

 だが、身びいきなことを承知で言わせてもらえば、今季のレッズはそれを乗り切る陣容が整ってきたように思う。昨季の選手団から森脇と岩舘、大城と池髙が抜けたが、期限付き移籍からの復帰を含めた新加入あるいはそれに近い選手たち。昨年、一昨年に加入したが思うような結果を残せなかった選手たち。またはケガ明けで本来のプレーが出せなかった選手たち。彼らが新しいシステムの中で本領を発揮していることにより、間違いなくチームの戦力はアップしている。大げさに言えば、週2試合のサイクルが続くなら、ウィークエンドチームとウィークデーチームに分けてメンバーを組んでもいいのではないかと思えるほどだ。

 

 再開から2か月程度はビジターのファン・サポーターを入場制限する措置も考えられているようで、もしかすると全試合をチームと共にスタジアムで闘えるサポーターは少なくなるのかもしれないが、2か月半試合がなかった分、再開以降はレッズを濃厚に(最近、嫌な使い方をされる言葉だが)感じることができる日々になるし、それを濃い喜びの日にするために、オフ明けからまた練習に励んで欲しい。

 

 本当に1993年の第1ステージはレッズに首までどっぷり浸かっていた記憶しかない。

 

(文:清尾 淳)

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