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Weps うち明け話 #1145

続々と公式戦デビュー(2022年8月29日)

 

 8月26日(土)、WEリーグの公式戦で、三菱重工浦和レッズレディースの若い選手4人がデビューした。

 18時から浦和駒場スタジアムで行われた、WEリーグカップ・ループステージ第2節、アルビレックス新潟レディース戦で、加入3年目のDF高橋美紀が先発。2年目のDF河合野乃子が後半開始から出場。1年目のMF丹野凛々香、高校3年生のMF角田楓佳が69分から出場した。4人はいずれもレッズレディースユース出身で角田は現在もユース在籍中。

 

 試合は開始7分、レッズは高い最終ラインを破られ、失点。しかし前半のうちに安藤梢と菅澤優衣香のゴールで逆転。後半にも、菅澤のこの試合2点目と、猶本光の2試合連続ゴールが決まり、終わってみれば4-1の大勝となった。

 

 WEリーグカップは今季から制定された公式大会で、10月下旬に始まる2022-23 Yogibo WEリーグのプレ大会的な位置づけでもある。11チームが6チームと5チームに分かれ、それぞれのグループで1回戦総当たりのリーグ戦を行い、1位チーム同士が10月1日に決勝を行う、という方式。レッズレディースは開幕戦で大宮アルディージャVENTUSと引き分けて現在1勝1分け。得失点差で首位に立っている。

 

 先発したセンターバックの高橋は、序盤こそ相手FWに入れ替わられ、失点に絡んでしまったが、その後も勇気を持って守備ラインを上げ、攻守に着実なプレーを見せた。

「失点の場面は、自分が飛び込んでしまって、相手のスピードという特徴を出させてしまいましたが、その後は自分のプレーの特徴である、パスを活かせたと思っています。試合に入る前はすごく緊張していましたが、先輩のいろいろな声掛けがあって、感謝しています。

 監督からもラインを上げろという声もありましたし、コンパクトにしないとレッズのサッカーにならないので、高い守備ラインにトライしました。チームに入っていくためにはそういうことが必要だと思います」と語る高橋。公式戦デビューまで時間がかかったが「本当に悔しい思いばかりでした。でも1年目で試合に出られなかったことで、先輩からいろいろ吸収しようという気持ちで学ぶことが多かったです。そこで吸収できたから今日のデビューにつながったと思います」と強い気持ちを表明した。

 

 その高橋と交代でセンターバックに入った河合は、同期のFW島田芽依が昨季のWEリーグで何度も出場し、同じくGKの福田史織がメンバー入りしていただけに悔しさも大きかったはずだ。また島田と福田、一年下のDF石川璃音はU-20女子ワールドカップの日本代表メンバーとしてコスタリカで活躍中であることも刺激になっているだろう。

 「良い緊張感を持てて試合に入れて良かったです。同期の出場や活躍があるので、自分もやってやろうという強い気持ちで入りました」と語る河合は、CKの場面でシュートを放ち、得点にも意欲を見せ、「相手のマークを外して点を取りたいと思っていました。決めきれなくて悔しいです」と次への意欲をのぞかせていた。

 

 ドリブル突破が得意なアタッカー、丹野は出場してからなかなかボールをもらえなかったが、79分に左サイドを持ち上がり、最後はDFにカットされCKを取る場面があった。左からクロスを放つ場面もあったが、味方にはつながらなかった。

 「ずっとチャンスはもらえると思っていました。監督からは自分の良さを出せと言われていましたが、出せたのは一度縦に突破したくらいで、もっとできたはずという気持ちです。でも試合に出てみないとわからない課題があるので、出られて良かったです」と反省するが、4点目のシーンではゴール前に入っていき、清家貴子の右クロスに対して相手DFを引き付ける形になり、猶本のゴールに絡んだ。そういうゴール前でのつぶれも、丹野の持ち味の一つだ。

 

 そしてユース在籍中で高校2年生のときからトップ登録されていた角田は、塩越柚歩と交代でインサイドハーフに入った。この日デビューした先輩たちが「緊張した」と言う中「全然緊張しなかったです」と語る。狭い場面でも相手をかわしてボールを運び、味方につなげたシーンがスタンドのどよめきと拍手を読んだ。「レディースユースにいなければできない、良い経験ができたと思いますし、良い環境だなと思います。もっと直接的に点に絡むプレーができたら良かったです」と156㎝の小柄な体から、手ごたえが伝わってきた。

 

 浦和レッズレディースは、2020年のなでしこリーグ優勝、2021年度の皇后杯優勝とタイトルを重ねているが、先発選手とそれ以外の選手とで、経験や練度の差があることがウイークポイントとなって、後半メンバーを交代するとチーム力が落ちることがあった。

 楠瀬直木監督も、そこを課題として、このWEリーグカップで勝ちながら公式戦の経験を多くの若い選手に積ませようと考えている。

 U-20女子ワールドカップで決勝に進んだ3選手も戻ってくる。またケガで戦列を離れていた栗島朱里も練習には復帰している。

 

 グループステージ残り3試合を勝ち抜いて決勝に進み、WEリーグの開幕時には、昨季よりスケールアップしたレッズレディースを見せて欲しい。

 

(文:清尾 淳)