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Weps うち明け話 #1157

弱点か伸びしろか(2023年1月16日)

 

 今さらですが、明けましておめでとうございます。毎年のことですが、今年はいつもよりバタバタ度が高く、初更新が今日になってしまいました。申し訳ありません。

今年もよろしくお願いします。

 

 

 去年も一昨年も、シーズン前に多くの選手の入れ替わりがあり、正直なところ始動からしばらくは選手の顔と名前を一致させるのがひと苦労だった。

 今季はそれがない。

 新加入選手は今のところ5人で、そのうち興梠慎三と荻原拓也、ユースから昇格の堀内陽太は問題ない。初お目見えは吉田舜と髙橋利樹だけで、ゴールキーパーとフィールドプレーヤー1人ずつなので、すぐにわかる。

 些細なことに思えるだろうが、練習を見るとき、誰がどういうポジションに入って、どういう動きをしたかというのがすぐにわかるか、考えた末でないとわからないのかでは全く違うのだ。選手の半分近くが入れ替わるとけっこう覚えるのに時間がかかる。年齢のせい? たしかにそれもある。

 

 過去2年、大幅な選手の入れ替えがあった結果、今季のレッズには加入2年目、3年目の選手が非常に多い。それが昨季は弱点として現れた部分もあったと思う。

 しかし1年目、2年目ではなく、2年目、3年目となると、その弱点らしき部分がストロングポイントになる可能性も出てくる。

 ざっくり言えば、伸びしろ、ということだ。

 

 レッズに来て、あるいはプロになって1年目、2年目には力を全部発揮できなかった選手たちがいるだろう。その彼らが1年ないし2年の経験を積んだことで飛躍する事は大いにあると思う。1年目と2年目は全く違うし、2年目と3年目はだいぶ違うはずだ。

 伸びしろがある、と言うと、未完成であることの言い換えのように聞こえるときもあるが、それで終わらせず実際に伸ばしてほしいし、伸ばせるかどうかは自分次第だ。

 

 たとえば大久保智明が1年目に比べて2年目の昨季、成長を見せたのは誰もが認めるところだろう。だが、まだ一流選手になったとは言えない。チャンスメークを、確実に自身あるいはチームメートのゴールに結びつけることが彼に求められるし、その前にどういう相手に対してもしっかりチャンスを作れるということも彼の伸びしろとして期待したい。

 

 たとえば明本考浩。

 彼のスピードとフィジカルの強さ、特に対人での強さはJリーグでも指折りと言っていいのではないか。彼もチャンスを自分や味方のゴールにつなげることが多くなれば、チームの得点や勝ち点はだいぶ増えるに違いない。

 そういう意味で、FWに入ったときの明本には、ぜひ興梠の「間」を見て欲しい。明本の直線的なプレーは爽快感もあるが相手に読まれやすいこともある。ゴール前まで持っていきながら相手GKにセーブされた場面も少なくない。

 昨季、札幌に行っていた興梠が第33節の広島戦で23分に先制点を挙げた場面。ただラインの裏へ抜け出してドリブルシュート、というだけではなく、絶妙なステップで相手GKやDFを翻弄していた。あれを映像で見たとき、ぜひ明本に参考にして欲しいと思ったものだが、今季はそんなお手本が横にいるのだ。明本のスピードや競り合いの強さに、相手との駆け引き、緩急の付け方、タメが加わればすごいことになるのではないか。

 

 これ以上挙げていくと、今後書くことがなくなってしまうのでこの辺にしておくが、レッズ在籍年数が長くないことを弱点ではなく、2年目3年目の伸びを期待できるというストロングポイントに変わる期待感。それを持ってシーズンに臨みたいものだ。

 

(文:清尾 淳)