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Weps うち明け話 #1165

頃合い(2023年4月18日)

 

 明日の湘南戦は、誰かの今季初ゴールが飛び出すだろう。

 などと、予言めいてみたが、そもそも今季公式戦で得点しているのは9人だけだ。しかも明日のメンバーを予想すると、その9人の名前がたくさん出てくるわけではない。つまりレッズが点を取ったら「今季初ゴール」となる可能性が高いということだ。

 

 種明かしするまでもない話だが、本当にそろそろ頃合いではないか。何がって、ルヴァンカップでも勝っていいだろうということだ。

 リーグ戦でも勝てていないのなら、そんなことも言えないが、開幕2試合こそ完封負けでも、その後は5勝1分けと好調だ。リーグ戦とルヴァンカップでは試合に出るメンバーが違うのは確かだが、同じ練習をしているのであり、ルヴァンのメンバーは決してリーグ戦レギュラー組の練習台ではない。試合直近の紅白戦では練習台だとしても、リーグ戦の先発メンバーがかなり固定されている現在、その相手になるいわゆるBチームもだいぶ固定されているということでもある。

 リーグ戦レギュラー組の向上ぶりが試合に反映されてきているのだから、同じ練習をしているルヴァンカップのメンバーも、そろそろロ―スコアのドローから脱却して複数得点してもいい頃合いだ。

 

 数年前なら、こんなふうには思わなかった。おそらく「Jリーグカップに先発するメンバーの奮起に期待する」という言い方になっただろう。

 今でもその部分は変わらない。ここまでリーグ戦に出場した選手は22人になるが、先発に限ると14人に絞られる。半分以上の選手は悔しい思いをしているはずだ。

 

 だが悔しい思いだけで先発できるものではなく、それにふさわしい力が必要であることは言うまでもない。その力は日々の練習で付けていくしかないが、過去30年を見ると、成長の機会が均等に与えられているのか、あるいは必要な選手に必要な機会が提供されているのか、首をかしげたくなる時期もあった。

 リーグ戦に出場する選手が固定気味になるのも仕方がないし、その選手たちを中心に鍛えることが必要な時期もあるだろう。だが、日々の練習にまで差をつけてしまうとチーム全体の底上げにならない。水曜日の天皇杯初戦や第2戦で、週末に控えたリーグ戦のメンバーを休ませたとき、出場チームの力が極端に落ちるのは、そういうときではないか。

 

 今季のマチェイ監督は、ACL決勝に向けてリーグ戦のメンバーを極力変えずに戦いたい、と明言しているし、実際にそうしてきた。そのことが、ここ6試合無敗にもつながっていることは間違いない。だがリーグ戦に絡む10数人だけを特訓しているわけではない。練習の機会は均等に与えられていると思う。さらに歴代で最も多いコーチングスタッフが、必要な選手に必要なサポート、助言をしている。

 

 前回のリーグ柏戦~ルヴァン川崎戦~リーグ名古屋戦とほぼ同じ流れだから、明日の先発メンバーは札幌戦と大幅に変わることが容易に想像できる。だが川崎戦もそうだったが、チームの力が大きく落ちることはないはずだ。それどころか、勝たなければルヴァンカップのタイトルから遠ざかることになりかねない、ある意味で崖っぷちの状況で先発する選手たちが、日ごろの練習の成果をベースに自分のモチベーションを加えて躍動し、今季Jリーグカップ初勝利を挙げてくれると思っている。

 

(文:清尾 淳)