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Weps うち明け話 #1177

逆風、逆境の中で強くなれ(2023年10月6日)

 

 もし今季の(2023/24の)ACLに出場できず、かつルヴァンカップの準々決勝で敗れていたら。

 

 9月24日(日)のG大阪戦で退場処分を受けたホセ・カンテは、1か月以上公式戦に出場しないで10月28日(土)の鹿島戦を迎えることになっていた。だが、現実にはその期間に、ACLハノイ戦、ルヴァンカップ横浜FM戦2試合、ACL浦項戦と、4試合の公式戦がある。試合勘やコンディションを維持するには、絶好の日程だ。

 

 なにもホセの試合勘のために試合が組まれているわけではなく、どれもタイトルおよび賞金を獲得するための大事な試合だ。大事な時期にリーグ戦2試合を出場停止となる彼には、その分フルで活躍してもらわなくてはならない。

 本人も、ハノイ戦の数日前には「自分のコンディションを維持するためだけでなく、サポーターと自分のためにもゴールを挙げたい」と語っており、実際にハノイ戦ではゴールラッシュの口火を切ることになったオウンゴールを誘発するシュートを放ったし、オウンゴールでは「ノルマ」が果たせないと思ったのか、3点目となるPKも蹴って、危なかったが最終的にはしっかり決めた。

 

 来週のルヴァンカップ準決勝第1戦はもちろん、15日(日)のホーム第2戦も、20日(金)の柏戦を考えなくていいのだから、出し切るまで戦い、決勝進出につながるゴールを挙げて欲しい。

 

 ホセ以外の選手は、過密日程とまでは言えないにしても、疲労が溜まるシーズン終盤としては楽ではない日程で試合が入っている。12月3日のリーグ最終節まで、現在リーグ2位の横浜FMと3位のレッズは、残り10試合ないし11試合(ルヴァンカップ次第)の試合があり、うち1~2試合は海外遠征だ(横浜が2試合)。

 一方、現在リーグ首位の神戸は、リーグ戦5試合だけを残しており、これをもってJリーグの優勝争いは「神戸有利」という見方が間違っているとは思わない。

 

 だが、楽な日程が絶対有利とも限らない。

 神戸は9月29日(金)にJリーグ第29節を戦ったあと、約3週間のインターバルがあって第30節の鹿島戦。また10月28日(土)に第31節の福岡戦を行ったあと、約2週間後に第32節の浦和戦を迎える。これは試合のテンポとしては「楽すぎる」のではないか。

 疲労回復の面からは十分な期間があるが、試合勘やコンディション不足といった、ちょうどレッズのホセが心配されたようなマイナス要素はないのか。練習試合や練習量、強度の調整だけでは補いきれないものがあるのではないだろうか。

 これが、神戸のネガティブ要素を探す、僕の希望的観測に過ぎなければ、一笑に付してもらって構わない。

 

 だが、ようやく涼しくなってシーズン終盤を感じさせるこの季節に、2つのタイトルと来年のACL連覇という目標を持って戦えていることは、強がりではなく充実していることは間違いない。

 

 9月29日のリーグ横浜FC戦を予想外のドローに終えてメンタル的に厳しい状況だったが、5日にハノイ戦があることで選手たちはすぐに切り替えられただろうし、6-0の大勝。しかも2試合ドローが続いていた埼スタでの勝利というのはポジティブになれる重要な要素だった。また髙橋利樹はリーグG大阪戦に続き、ゴールだけでなく今季最高の貢献を随所でしていたし、新加入のエカニット・パンヤ(愛称ブック)が初出場初ゴールを挙げたこと、関根にゴールが出たことも今後につながるだろう。

 違う大会で良い結果を出すことがリーグ戦に好材料をもたらす。当然、逆の影響が出る可能性もあるが、不安がっても日程は変わらないのだから、プラスに考えるべきだ。

 

 ルヴァンカップの決勝を1週間後に控えて、アウェイの鹿島戦に臨む。アウェイ浦項戦の4日後という厳しい日程だがACLグループステージ突破の可能性を広げて、11月12日(日)に神戸を迎え撃つ。

 来週からのルヴァンカップ準決勝2試合と、浦項とのホーム&アウェイ2試合。リーグ戦以外の大会で良い成績を収めることで、そういう状況が生まれる。逆風、逆境とも言えるが、それを乗り越えて強くなっていくチームに、そこでこそ強さを発揮できるレッズになって欲しい。もちろん共に闘うサポーターの支えで。

 

(文:清尾 淳)