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Weps うち明け話 #1192

説明は絶対必要だ(2024年3月25日)

 

 

え、このコラムが1192回目? ならば

 

 源頼朝が鎌倉幕府を開いたのは1192年だと教えられていたが、そうでもないという説が有力になっているらしい。

 そう聞いてネットで調べた知識だが、つまり「幕府を開く」という定義が、かつては「征夷大将軍」に任ぜられたとき、というものだったので、頼朝が将軍になった1192年に鎌倉幕府が開かれたとなっているが、実際はその前から政権の整備とも言うべき制度を少しずつ取り入れていたので、政権を得るという意味で「幕府を開く」という表現を用いるなら、それは1192年ではなく、その前だろう、という説だ。

 

 なるほど。

 そもそも日本に「~幕府」というのは、「鎌倉~」「室町~」「江戸~」の3つしかない。そのうち、創設者の子孫が最後まで実権を有していたのは江戸時代だけで、鎌倉幕府は「執権」という役職者に、室町幕府は「管領」や戦国大名に実権を奪われていたが、「~幕府」自体は名目上、しばらく維持していた。

 そもそも武家政権を「幕府」と呼ぶようになったのは、江戸中期以降だというから、頼朝や足利尊氏が自分の政権を「~幕府」と称したわけではなかったはずだ。だから、「征夷大将軍の称号を得た=幕府を開いた」というのは後世の歴史家、歴史学者が、わかりやすい指標として定めたものではないかと思う。

 

 研究が進んで、鎌倉幕府(今や「幕府」と呼ぶのがふさわしいのかさえ躊躇してしまうが)が開かれたのが1192年でないというのが定説になるならなるで全く構わないが、なるべく早く文部科学省なり日本学術会議なりで公式見解を出してもらいたい。その際には「いいくにつくろう」に代わる暗記方法も添付してくれれば、もっと良い。

 

 僕がいま受験生だったら「ふざけんなよ」と思うかもしれないが、たぶん、しばらくは鎌倉幕府が開かれた年に関しては試験問題に出ないだろう。新しい事実が発見され、定説が覆ることはありうることだし、歴史はより正確な方がいい。納得のいく説明もあることだし。

 

 だけど。

 今頃になって、AFC女子クラブ選手権の決勝が行われない、というのは納得いかない。

 レッズからは「女子サッカーにおけるAFCチャンピオンズリーグのプレ大会の位置づけとして開催されておりました『AFC Women’s Club Championship 2023 – Invitational Tournament』の決勝に関して、実施しない決定がAFC(Asian Football Confederation)によりなされましたので、ご報告いたします」というリリースが来た。WEリーグからのリリースも同様だ。

 5月に行われる予定だった決勝を行わなくなった。

 ただそれだけで、中止の理由さえも一切説明がない。

 

 レッズはただ迷惑を被っただけで何の責任もないだろう。もちろんWEリーグや日本サッカー協会に説明を求める権利は有している。

 WEリーグと日本サッカー協会は、AFCに説明を求める権利と共に義務がある。「遺憾を表明」しているだけでは、「鎌倉幕府が開かれたのは1192年ではなさそうです」と言うだけで、その理由や実際はいつなのかという考え方を説明しないのと同じだ。直接の責任があるわけではないが、徹底究明する責任がある。

 

 同決勝を想定して、511()12()に行われるはずのWEリーグ第20節、三菱重工浦和レッズレディース対アルビレックス新潟レディース戦が3月27()に前倒しされた。

 平日の14時という考えられない日程で、試合に来られる人は多くないだろう。ずっと応援を続けてきたが、泣く泣く来場を断念せざるをえない人もいるはずで、貴重な入場者を蹴散らすような日程を組ませた責任はどこが取るのか。

 また、予定どおり土日開催であれば得られたはずの入場料収入、数百万円はどこが補填してくれるのか。

 この27日開催により、レッズレディースと新潟レディースは、3月16()から5連戦という女子としては厳しい日程になる。しかもレッズレディースは5戦目が27日から中3日の31()だが、新潟は中2日の30()5戦目でしかもアウェイの相模原戦だ。この不公平さの責任はどこが取るのか。

 そして、こんなことで女子のACLなど実現可能なのか。

 

 怒りというエネルギーと共に迎えた週明け。今週も試合がいっぱいだ。

2024325日)

 

(文:清尾 淳)