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Weps うち明け話 #1194

大きく響くカウントダウン(2024年4月30日)

 

 三菱重工浦和レッズレディースが10連勝で2023-24WEリーグの首位を走っている。中でもここ4試合に注目した。

 

 ・4月14()、ノジマステラ相模原戦 ○2-0 78分、長島玲奈が負傷でout72分に左サイドバックで途中出場していた岡村來佳がセンターバックへ。

 ・4月18()、大宮アルディージャVENTUS ○4-0 36分、石川璃音が連戦の疲労回避のためout、岡村がin

 ・4月21()、マイナビ仙台レディース戦 ○3-0 79分、石川がout、長船加奈がin

 ・4月27()、サンフレッチェ広島レジーナ戦 ○2-0 37分、後藤若葉が負傷しout、岡村がin

 

 ここ4試合をすべて完封で勝利したが、どの試合もセンターバックの1人が途中で交代しているのだ。

 レッズレディースの守備陣は、日本代表DFでもある高橋はなが、3月に右脚を負傷し手術。全治6週間の診断だから、シーズンの最後に間に合うかどうか、というところだ。

 多くの試合で長島と日本代表の石川がセンターバックを務めてきたが、冒頭書いたように、その長島が相模原戦で負傷し、その後の3試合を欠場した。4バックの中央2人は大宮戦以降、石川と大卒新人の後藤が先発してきたが、前述したように毎試合、1人が交代している。負傷ではなく疲労軽減のための交代もあったが、それを可能にする選手が控えているということだ。

 

 中でも岡村は、4月14日の相模原戦がWEリーグ初出場だった。

 レッズレディースのアカデミーで6年間育ち、この春に高校を卒業した18歳で、同期の新人たちが次々とデビューしていくのを悔しい気持ちで見ていた。しかし相模原戦で18分間、しっかりとしたプレーを見せると、大宮戦と広島戦は、前半の途中から出場。特に広島戦の後半は、相手の猛反撃にさらされたが落ち着いた守備で完封勝利に貢献した。

 自陣でボールホルダーの相手と対峙した際には急がず、しかし相手が動き始める瞬間に鋭い出足でボールに触る、という守備で広島の攻撃を阻んだ。また66分には、レッズレディースのセットプレーから、日本代表でもある広島の快速ドリブラー、中嶋淑乃がカウンターを仕掛けるところを猛追して阻止、ボールを奪い返した。

「走力は自信があります。自分はボールを奪いに行きたいタイプなので、あそこで取れたらチャンスだなと思って取りに行きました」と迷いはなかった。

 途中出場で3試合、しっかり仕事をした。次は先発出場や、これも自信があるというヘディングでの得点など、階段を昇っていきたい。今季、残り4試合の中でその機会は十分ありそうだ。

 

 今季のレッズレディースは1月の皇后杯準決勝、広島戦で、安藤梢と猶本光が前十字じん帯を損傷し、長期離脱。チームの精神的な柱であり、攻撃の中心でもある2人を欠きながら総得点はリーグ最多の46点。清家貴子が、男女を通じて日本のプロサッカー最多記録の10試合連続ゴールを含め得点ランクトップの15点を挙げており、島田芽依もここ10試合で8得点と年間自己最多ゴールに並んでいる。

 攻撃面で安藤、猶本両選手の不在を感じさせないレッズレディースだが、守備面でも層の厚さを見せつけている。

 

 この4連続完封勝利の内容を見て、WEリーグ2連覇へのカウントダウンが、より大きく聞こえてきたのは気のせいではなさそうだ。

 

(文:清尾 淳)