Weps うち明け話 文:清尾 淳

#984

「もちろん」にふさわしく

 道理で。


 何がかというと、レッズの沖縄一次キャンプについて、選手の誰も「予想したよりハードではない」と言わない理由だ。

 つまりは十分ハードだということだが、なぜそんなふうに考えたかというと、午後の練習がかなり屋内(プールを含む)でのトレーニングとなり、取材ができなかったことに起因している。

 セットプレーの練習をやるから、相手チームへの対策をやるから、という理由でファン・サポーターにもメディアにも見せられない「非公開」とは違って、屋内だから場所柄取材をご遠慮いただきたいのと、午前中がハードだったから午後はクールダウン系で軽いですよ、ということだとばっかり思っていた。


 午前中は、ボールを使って素早い動きと攻守の切り替えやコンビネーションが必要な練習を何セットも行い、2時間を超えることもしばしばあった。初日の22日(火)はそういう練習を午後もやったが、それ以外の日の午後はサーキットトレーニングか屋内が主だったから(ビーチもあったが)、それほどハードではなかろう、と勝手に推測してしまったのだ。


 一次キャンプを打ち上げた昨日、鈴木大輔に「午前中はハードな練習で、午後はクールダウン系だった?」と質問すると「午前は心肺に来る練習、午後は筋肉系に来る練習が多くて、次の日筋肉に影響が残った」という答えだった。自分が見ていないからハードではないと早とちりしていた己を恥じた。

 そういえば午前の練習も毎日メニューが少しずつ違っていた。練習によって鍛える部分を替え、また日によってやり方を変えて飽きないようにし、1シーズン戦い抜ける身体を作る。「勝つために必要なあらゆることをする」オリヴェイラ監督らしいアプローチだ。

 選手たちの感触も上々だった。


 柏木陽介「若い選手が増えて、みんな頑張るので、それについて行きすぎるとベテランはケガしてしまう(笑)。すごくみんな良かったし、最後までやり通して監督はご満悦だ。良いキャンプができたと思う。自分自身、身体づくりに関してはある程度できていると思う。途中、2日とちょっと全体練習から離脱したが大きなケガなく終われたことが一番良かった。あとは戦術面で、二次キャンプでしっかりやりたい」


 岩波拓也「一次キャンプはハードだったが、良いコンディションづくり、身体づくりになったと思う。二次キャンプでは、ボールを使ったより実戦的な練習が増えてくると思うから、選手同士の感覚を合わせていきたい」


 西川周作「レッズの始動は他のチームより遅い方だったが、オリヴェイラ監督の下、練習の方がきつい、試合の方が楽だなと思えるくらいのトレーニングをやっていると思う。どこのチームにも負けない質と量の練習をやってシーズンに入れると思っている」


 キャンプインの何日か前、オリヴェイラ監督に「去年の静岡キャンプよりハードなのか」と聞いたときの、「もちろん」という即答にふさわしい一次キャンプだったと言っていいだろう。

 1月29日(火)にいったん戻り、2日間のオフだけで(しかも1月31日にはパートナー各社への「感謝の会」に選手も出席する)、2月1日(金)から再び沖縄で二次キャンプ。あの「もちろん」にふさわしいトレーニングがまだまだ続く。

(2019年1月30日)

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