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西野努「神戸大で何が悪いねん!」
第二部 9年間、闘ってきたもの
⑨ 1年ぶりの痛みが
J1に復帰したシーズン、西野は開幕から先発出場した (写真は2月25日、プレシーズンマッチ・ギャラクシー戦)
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2001年、レッズはJ1に復帰し、再スタートを切った。30歳を迎える西野努も、後がない意気込みで開幕に臨んだ。
前年の8月に脱臼した右肩はまったく気にならなかった。そもそも試合中に肩を気にしていては思い切ったスライディングや、ヘディングでの競り合いができなくなる。西野は第1ステージ10試合に出場していた。
チームは、オランダのフェイエノールト移籍を前に、レッズに置き土産を残そうとする小野伸二の活躍もあって、中位以上の成績(7位)で第1ステージを終えた。しかし、小野がいなくなった第2ステージは思うようなスタートを切れなかった。
(なんか、緩いんちゃうか)
8月25日。西野は右肩に違和感を覚えた。
さいたま市内のホテルで迎えた朝だった、第2ステージ第3節。駒場スタジアムでサンフレッチェ広島との対戦が待っていた。
「今まで大丈夫やったんや。何ともないわ」
前回の脱臼からすでに1年が経過しているし、肩の筋肉強化にも努めてきた。いまさらはずれることはないだろう。西野は肩のことを忘れた。
前半終了間際だった。広島のMF藤本主税のドリブルを押さえに行ったとき、相手が右の脇の下に入って、そのまま持ち上げるような形になった。
「うわっ」
1年ぶりの痛みだった。西野は朝の違和感を思い出し、右肩を押さえながら退場した。
「どうする? 2回目があったら3回目は必ずある。プロ選手を続けるなら手術するしかないぞ」
西野は自問した、時期は8月。いま手術したら経過によってはシーズンの後半を棒に振るかもしれない。30歳になり、自分の選手生活の残りをそれほど長くは考えられない身としては、それは嫌だった。
「シーズンが終わってからにしよう」
そう結論を出した。天皇杯も含めて、公式戦は一つも無駄にしたくなかった。
これまで大ケガをしながら何とかやってきた。今度も乗りきれるに違いない。
そう信じていた西野だった。
(続く)
(文:清尾 淳)