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Weps うち明け話 #1026

まずは次善の策でも(2020年5月21日)

 

 先週、一足早くドイツでブンデスリーガが無観客試合で再開した。「一足」なのか「何足」なのか、まだわからないが。5月22日(金)に、第 8 回「新型コロナウイルス対策連絡会議」があるというから、これまでとは違う進展があるかもしれない。

 

 海外サッカーは、以前スカパー!に加入したころ(98年)、土曜日のJリーグが終わって、飲んで帰ったころからちょうどイングランドのプレミアリーグが始まったので、よく観ていたが、そのうち忙しくなってきて、ビッグマッチ以外はダイジェストで済ませるようになった。

 フリーになった2005年ころからは本当にレッズの試合を見返す以外は観る余裕がなくなってきた。最近では、ビッグマッチか元レッズの選手が所属しているチームの試合を観るくらいだった。それも録画が多くなっていた。だからドイツかベルギーのリーグ戦をたまに観る程度だった。正直、知っている海外選手は、以前に比べて極端に少なくなった。

 

 しかしこのところ、サッカーの試合映像となると、レッズが優勝したとか大量点で勝ったときなどのビデオを観るばっかりで、生中継がなかったので、16日(土)深夜(日本時間)のブンデスリーガは、つい観てしまった。同じ時間帯に別のチャンネルで、だいぶ前のFCバルセロナ対レアル・マドリード戦を放送していて、そっちは一つひとつのプレーが素晴らしかったのだけど、「これは、今やっている試合だ!」と思ってブンデスリーガの方を長く観てしまった。ちなみにいくつかあった中継から選んだのはフランクフルトvsボルシアMGだったが、長谷部誠が出る前に寝落ちしてしまった。

 スター選手がいっぱい出ているクラシコの録画より、知ってる選手がほとんどいない試合の生中継に惹かれる。

 世界の中でブンデスリーガしかやっていないと、そうなるのか。些細なことだが、初めてわかった。不思議ではないのだろうけど。

 

 18日(月)の夜は「リモート飲み会」をやった。

 だいぶ前にレッズのオフィシャルメディア仲間のリモート飲み会には参加したのだが、自分で主催したのは初めてで、サポーター3組5人(2組はご夫婦)と約2時間、近況などを話し合った。

 ちなみに僕の酒量は少なくない。多いというよりもピッチが速いとよく言われる。グラスに飲み物が残っていると飲んでしまうのだ。だが、このときは2時間でハイボール2杯しか飲まなかった。途中で席を立ってお代わりを作りに行くのが面倒、というより話に夢中で酒を飲みたいという気持ちがどこかに行ってしまったようだ。

 楽しい時間が終わってから、あらためて思った。誰かと酒を飲むのはアルコール摂取が主目的ではなくて、会話が目的なんだと。アルコールは口をなめらかにする、文字どおり潤滑油であって、滑り出したらそんなに量は必要ないんだと。あくまで個人の見解だが。

 

 土曜日のブンデスリーガと月曜日のリモート飲み会。

 どちらも新型コロナウィルスの感染予防に世界中、日本中が努めているからこそ見つけた楽しさだった。

 だが、こうも思った。

 海外サッカーの生中継を観ているうちに、絶対にJリーグの試合も観たくなる。Jリーグもそのうちまずは無観客で再開することになるだろうから、それをテレ玉かDAZNで見たときは、さぞうれしいだろう。だが、そのうち必ず仲間と共に満員のスタジアムで観たくなる。その素晴らしさを知っているから。

 リモート飲み会もそう。一人で飲んでいるよりはだいぶ楽しいが、実際に店でワイワイやった方がいいに決まっている。

 どちらも、あくまで本来の形が不可能なときの「次善の策」だ。

 

 その「本来の形」がいつ戻るのか。はたして戻ってくるのか。

 いろいろなものの在り方が、変わってしまうだろうと言われている中、Jリーグの本来の形だけは取り戻したい。まずは次善の策でも、現状よりははるかに良いが、すべてが戻ってくるまで頑張り続けたい。

 

 ともすれば怠惰の方へ流されてしまいそうな昨今だが、その気持ちが毎日の支えになっている気がする。

 

(文:清尾 淳)