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Weps うち明け話 #1031

クラウドファンディング(2020年6月24日)

 

 浦和レッズが6月20日(土)にクラウドファンディングを開始して、きょう24日(水)で5日目だが、すでに7,200万円以上が寄せられている。支援者数が「まだ」3,700人台であることから、8月末までの設定期間内に、目標の1億円に達することはほぼ確実だと思われるし、目標自体を上方修正することも想像される。

 きょう行われたテレ記者会見で「現在の額が事前の予想と比べてどうだったか」「目標金額を上げるのか」という質問が出たが、立花洋一代表は金額云々よりも、それぞれも苦しい状況にあるはずのファン・サポーターが、これほどレッズのことを思ってくれる、そのことに感謝したい、それがこの記者会見で訴えたいことの一番だ、と述べた。正確な言葉は、オフィシャルサイトで確認して欲しい。

 

 まず、その点はまったく同感だ。

 以前から思っていることだが、埼スタをホームで使用するようになってから、浦和レッズはよく「金満クラブ」と言われてきた。

 「金満」という言葉がそもそも悪口なのかどうかはわからないが、「清貧」という言葉はあっても「金持ちで清らか」という意味の言葉は見当たらないから、「金満」と言うと何となく揶揄されているニュアンスがある。というか、当時は明らかに揶揄されていた。

 お金があろうとなかろうと、それ自体に善悪はない。

 そして、どんな収入であろうと不正なものでなければ何の問題もないが、Jリーグトップクラスの財政規模であるレッズの収入は、親会社が湯水のように出してくれるものではなく、一人ひとりのファン・サポーターが試合を観に来てくれる入場料収入、その人気をバックボーンにした広告収入、そしてやはり一人ひとりのファン・サポーターがお金を出してくれるグッズ収入で成り立っている。広告収入は非常に大きいが、割合として大きいのは親会社系の企業のものではない。

 ファン・サポーターの数が多いのは誇れることであり、それによってクラブが「金持ち」なのは何ら恥じるものではない。そう思って「金満クラブ」と言われるたびに、他クラブの「ひがみ」を裏返したものでしかないと、心の中で失笑してきたというのが、正直なところだ。

 

 今回のコロナ禍で、それがまたはっきりした。

 クラブの収入の柱である入場料収入が大きくダウンすれば経営が苦しくなるのは明らか。それを知ったファン・サポーターが、人それぞれ金額の多寡はあるが、思いをクラウドファンディングに託している。立花代表は、ファン・サポーターに対する感謝を述べたが、もしかすると逆に、こういう道を開いてくれたクラブに感謝しているファン・サポーターもいるのではないか、と思うほどだ。

 最終的に、金額がいくらになるかも気になるが、それと同時に、あるいはそれ以上に、「支援者」の数が何人になるかが最も楽しみだ。

 

 クラブのオフィシャルサイトのクラウドファンディングのページには、「浦和レッズは存続し続けなければならない」というメッセージがある。それはそのとおりだ。

 そして大事なことは、どういう浦和レッズを存続し続けさせるのか、ということだ。チームの成績ももちろんだが、それと並行して近年特に言われている「浦和レッズらしさ」ということ。浦和レッズが築いてきた歴史の中で、培ってきたもの。その中で何を持続させていくのか、また発展させていくのか。

 今回、クラウドファンディングで支援した人たちには、いろいろな形の「リターン」がある。「純粋応援」というものもあるが、それも一種の「リターン」だろう。だが、みんな「リターン」への「対価」として支援をしているわけではない。

 

 それぞれの思いに、どう応えていくか。何度も言うがチームの成績だけではない。浦和レッズが背負うものがまた大きくなったと思う。

 

(文:清尾 淳)