1. TOP
  2. Weps うち明け話

Weps うち明け話 #1045

55-02(2020年10月9日)

 

 先日、埼スタから車で帰る道で、前を走る車のナンバーに見覚えがあった。といっても知り合いの車というわけではなく、よく見るナンバーということだ。

 2車線の右側を走っていて、前の車が左へ寄ったので(煽ったわけではない)、そのまま少し前へ詰めて、しばらくすると信号で止まった。そして前の車を見ると、さっき前にいた車と同じナンバー。あれ? さっき左に行ったんじゃなかったか?

 不思議がっていると信号が青になり動き出した。まもなく、左の車線に車が入って来て少し前に出た。ナンバーが見える。さっきの車だ。つまり同じナンバーの車が2台並んで走っていたというだけのことなんだが、さすがは埼スタの試合からの帰りで、ここは浦和なんだなあ、と思った。レッズサポーターのうち何人が乗ってるんだろう、55-02の車。もし同乗者がいたら、写真に撮っておいたのに。

 

 それが9月30日の水曜日。

 10月4日の日曜日は埼スタで名古屋戦があり、この日から入場者の上限が約7,000人から18,000人に広がる。チケットの売れ具合を聞くとそこまでは多くなさそうだったが、1万人ぐらいにはなるだろう、と思いながら車で埼スタへ向かった。

 今季クラブは、ファン・サポーターへのサービスとしてREX CLUB会員を対象に、スタジアムの駐車場を有料で貸し出しており、人気が高い。試合開始の40分ぐらい前に着くと駐車場は半分近くが埋まっていた。車を降りて何気なく周りを見回すと、後ろに55-02の車が。

 やはりあるよな、と思っていたら数台置いてもう一台55-02、さらに反対側にも55-02。水曜日以上に驚きながら駐車場を出ようとすると、一番端にも55-02。僕が止めた列と隣の列、通路をはさんで反対側の列、その3列すべてに1台ずつ以上、1列が20台くらいだから60台中4台のナンバーが55-02だった。

 いったい埼スタに何台の55-02が止まっていたのだろう。たまたま55-02が目についたが、50-25だってありそうだし、それ以外にもその人なりのレッズ由来の番号を付けている車だってあるだろう。昨年と違い、ファン・サポーターが大勢止めている今年の駐車場を全部見回って、11-03、12-02、11-14などの記念日や語呂合わせらしき番号を見つけるのも面白いな、と考えながら記者席に向かった。

 

 ちなみに僕も車のナンバーを僕なりのレッズ由来のものにしているから、車両登録のときに追加料金を払って、そういう番号を付ける気持ちはよくわかる。2015年にチャンピオンシップの準決勝でG大阪に負けたとき、その週のうちに番号を替える手続きを自分でした。08年に車を買い換えたとき、03年のナビスコカップ優勝から07年のACL優勝までを経験したナンバーを違うものに替えたのだが、それ以来ご存じのような成績だったので、験直しのつもりだった。そうしたら、その年の天皇杯は準優勝に終わったが、翌年ルヴァンカップで優勝し、翌々年はACLで2度目の優勝、2018年は天皇杯優勝を果たした。

 もちろん、ナンバーに御利益があるのかどうかわからない(ないとは言いたくない)。しかし、自分の気持ちの問題だから納得はしている。

 

 他のJクラブについて、そういう語呂合わせのような番号があるのかどうか知らないが、少なくとも記念日の日付などは必ずあるだろうから、自分のサポートするチーム由来のナンバーを選んでいる人もいるだろう。

 その多さを競っても仕方がないが、比率はともかく総台数ならファン・サポーターの絶対数から言ってもレッズが一番多いのではないか。ステッカーを貼ったりミニフラッグを飾ったりしている場合もあるが、街中でそういう車を見かけると幸せな気持ちになる。

 

 そんなファン・サポーターの、1年の中で大事な日であるホームゲームで3連敗した。川崎戦から通算するとホーム4連敗でしかも1点も挙げられていない。

 僕がこんなところで追い討ちをかけなくても、監督も選手もそれがどういうことなのか、十分わかっているはずだ。過ぎてしまった結果は取り戻せないから、まずは鳥栖戦、柏戦のアウェイで勝ち、ホームの仙台戦で今季初の3連勝を果たすことで、少しでもファン・サポーターの無念を晴らして欲しい。もちろん、そこからさらに上に向かって欲しいのは言うまでもない。

 

 新しく車を買うときに、今度は自分もレッズ由来のナンバーにしようかと考える人が増え、街中にそんな車があふれるようになったら楽しいだろうと思う。

 

(文:清尾 淳)