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Weps うち明け話 #1054

307日ぶりのMDP(2020年12月7日)

 

 12月6日(日)に行われた皇后杯2回戦では、16試合とも所属リーグのカテゴリーが上のチームが勝ちを収めた。浦和レッズレディースも12日(土)の3回戦に駒を進めた。皇后杯4度目の決勝進出、そして初優勝を果たしてシーズン2冠という結果を残すことを願ってやまない。

 

 かたや天皇杯は、レッズにとって「ACL出場圏の3位以上」という目標よりハードルが高かった。

 第100回記念となる今回は、変則的な形に縮小してやるよりは大会そのものを取りやめて、開催ができるときに第100回の大会にふさわしいものにするのではないかと思っていたが、大規模縮小(変な言葉)をした上での開催となった。

 かつてはJ2クラブの出場が、第何節時点で何位以上のチーム、という年もあったと記憶しているから、J1も最終節を終えた2位以上のクラブのみが出場となってもおかしくはない。

 実際、7月からの日程でもしもリーグ戦の合間に天皇杯が組み込まれていたら、コロナの陽性反応で延期された試合は持って行きようがなかったかもしれない。

 

 例年、リーグ戦の終盤はほとんどの場合「まだ天皇杯がある」とシーズン最後の大会にも思いを馳せていたものだが(リーグ戦終了前に終わってしまった時も少なくはないが)、今回はその楽しみもない。トップチームは残り3試合でシーズンを終了する。

 

 天皇杯の初戦は浦和駒場スタジアムで行われることが多いが、埼スタができる前は「きょうはMDPないの?」と不思議がるファン・サポーターが少なくなかった。駒場での試合はMDPがあるのが当たり前、となっていたのだから無理もない。

 

 僕自身は、駒場の試合でMDPがないことにそれほど違和感はなかったが、違う意味で、駒場でも埼スタでもあるいは別の会場であろうと、天皇杯初戦でMDPが作りたかった。

 日本で最も権威のある大会の初戦。あまり知られていない相手の情報も伝えたかったし、カテゴリーが下だからと舐めてはとんでもないことになるぞとコラムで書きたかった。また、公式戦初出場しそうな新人や若手の意欲も紹介したかったし、天皇杯でのレッズの歴史も抽出して闘いの糧にしたかった。あるいは初戦でなくても、リーグ戦が終わってから最初の試合であれば、切り替えが必要だし、リーグ戦の総括なども載せられた。

 

 今季はそんなことを考える余地もなく、MDPの発行そのものが停止されていた。

 配布物がOKになったら…、入場制限が緩和されたら…、何度か発行再開のタイミングかと思って準備はしていたが諸々の理由で見送られ、限定された内容をウェブ掲載することで号数が進んでいった。仕方のないことだった。

 

 12月19日の札幌戦。今季のホーム最終節でMDPが発行されることになった。2月16日(日)のルヴァンカップ仙台戦で581号が発行されてから10か月。307日ぶりの発行となる。

 48ページの特別仕立て。2016年に「84ページ」というとんでもない号(501号)を作ったことがあるが、それを除けばMDPとして最大のボリュームだ。

 再開したらMDPでやりたいと企画していたことがあった。8月や10月に発行再開なら、こういう連載が必要だと考えていたこともあった。本来ならACL出場権を懸けた最後の闘い、という号にしたかったが、そのテーマがなくても最終節なら載せなければならないことがある。そういうアイデアを取捨選択して最終的な内容を決め、リモートでしか取材ができないもどかしさを感じながら、毎日作業している。

 3月以降、仕事で忙しかったことはほとんどなく、原稿に追われる、という感覚を忘れかけていたが、ナマっていた身体も先週で何とか戻ったようだ。

 

 今週は並行して湘南戦のウェブMDPもあるし、来週の水曜日にはアウェイの川崎戦があるから、MDPにとって二番目にきつい、アウェイ後中2日での発行となる(泊まりが必要なアウェイだと一番きつい)。

 作業が佳境に入ったきょう、自分にハッパをかけるための決意表明みたいなコラムになってしまった。

 

 表紙の原稿を入稿するとき、ルヴァンカップが普通に行われていれば、今季のうちに600号に達していたんだな、と思いながら「598号」という号数を書いた。

 コロナ禍の中で発行する最初のMDPだ。今季初のリーグ戦でのMDPでもある。何度か光が見えながらも悔しい結果で終わるシーズン最終節のMDPになってしまった。大槻監督や何人かの選手にとって最後のMDPになる。

 そして浦和レッズ、307日ぶりのMDP。

 ぜひ手に取って欲しい。

 

EXTRA

 当然ながらスタジアムに来られないファン・サポーターが大勢いるでしょう。

 来場がギリギリになってMDPが完売してしまうこともあるでしょう。

 そんなことを考え、老婆心ながらクラブにお願いして異例の「事前申し込み制度」を作ってもらいました。

 詳細はこちら。

 https://www.urawa-reds.co.jp/static/info/170496.html

 

(文:清尾 淳)