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Weps うち明け話 #1064

4番を付ける意味(2021年2月2日)

 

 新しいシーズン、数多くあるやらねばならないことの一つが、新加入選手の顔と背番号を覚えることだ。

 顔を覚えれば背番号は後でもいいじゃないか、と思うかもしれないが、メモを取るときは選手の名前でなく「右⑩→⑭S」のように番号で書くから、背番号が頭にしっかり入っていないと、スムーズにメモれないのだ。

 まずは一覧表を見て覚えたつもりではあるが、やはり実際に本人を見て背格好や動きの特徴をつかみつつ頭に入れていくのが効率的だ。その点、昨日=2月1日に練習試合があったのは良かった。紙の上でなく、ユニフォーム(練習試合用だが)で見るのがベストだ。

 

 正直なところ新加入選手より、以前から在籍している選手が背番号を替えた場合の方が、旧背番号が印象に染み付いているだけに覚えにくい。

 実際、2016年になっても柏木のことをずっと「8」と書いていたし(あの年は8がいなかったから、気が付かなかった)、関根が戻ってきた2019年の途中は、ふとノートを見たら両ウイングバックとも「24」になっていて、「あれ?」と不思議がった記憶がある。

 

 昨日もやってしまった。

 水戸との練習試合の、何本目かのフォーメーションのメモに「31」と書いていたのを、写真を撮っていて気付き、本人には見せられないなと思いながら「4」に直した。

 29日の沖縄SV戦後に行われたオンライン記者会見で、岩波拓也は「背番号も替わったので、より責任感を持ってチームのために泥臭く戦いたい」とコメントしていたばかりだというのに。

 岩波はこうも言っている。

「過去に4番を付けた選手を見ればこのチームの中心となっていた選手だし、そういう選手たちに追い付きたいという思いもある。自分がそういう番号を背負うことによって、より責任感が出ると思うし、今まで付けた選手に追い付いて追い越せるような存在感のある1年にしたい」

 

 神戸では5番を付けていた岩波。

 レッズでは5番を槙野が付けているから無理というだけでなく、今季の岩波は4番を付けたかったのではないか。そう類推する理由はコメントで語ったことに加えて、もっと具体的に昨年までの2年間、鈴木大輔が付けていた番号だからだ。

 岩波は同じDFとして、さらに人間として大輔を非常にリスペクトしていた。身近にそういう選手ができたことを喜んでいただろうし、だからこそ今季大輔がレッズを離れたことは残念でならなかっただろう。

 それを知っているから、岩波が4番を付けることの意味がさらに深く感じられる、と29日の記者会見を聞いて思っていた。

 

 思っていたのにメモを間違う間抜けぶりは置いといて。

 カメラ越しに4番を付けてプレーする岩波を見て、昨季よりも貫禄を感じたのは思い過ごしではないと思う。なぜなら最初は「4」に気が付かずに、プレーを見てそう思ったからだ。

 新加入選手が周りにいたことも、理由の一つかもしれない。「レッズ4年目の自分が中心にならなければ」でも「新監督のサッカーに早く慣れて絶対に開幕先発を勝ち取る」でもいい。

 だが「背番号4」が、岩波拓也という選手をひと回り大きくする栄養源であることは確実だ。期待しよう。

 

 もう背番号を間違えることはない…、と思う。

 

(文:清尾 淳)