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Weps うち明け話 #1069

開幕戦の記憶(2021年2月25日)

 

 2月27日のMDP(開幕からWeb配信なのが残念だが)と、昨日LIVE配信をやったYouTubeの資料として、過去28回のリーグ開幕戦を全部振り返ってみた。

 なんと28回のうち、ホームは7回、アウェイが21回だった。ホームでのリーグ戦開幕は全体の4分の1、前回2007年に横浜FCを埼スタに迎えてから今季は実に14年ぶりに開幕戦がホームゲームになった。

 

 93年から07年までの15シーズンでは、ホームが7回でアウェイが8回だからアンバランスではない。08年から13回連続アウェイ開幕が続いたことが異常に見えるが、これには浦和レッズならではの事情があった。詳しくは27日のWebMDPをお読みいただければと思う。

 

 28回の開幕戦、その全てをそらで覚えているわけではなかった。鮮明に記憶されているものもあれば一覧表を見てもボヤッとしか思い出せないものもある。記録や当時の写真、MDPなどを見返しているうちに、徐々にピントが合ってくる、という感じだ。

 

 だから「資料」は大事だ。レッズのオフィシャル・イヤーブックの発刊がなく、MDPも2号を除いてWebだけだった2020シーズンのことを、後世の人が調べたり思い出したりする資料として、本当にネットに残しておくだけで大丈夫なのだろうか、と真剣に思う。昨季最終節のMDPは、1冊でそのシーズンのことがざっとわかるように作ったつもりだが、それでも十分ではないはずだ。

 おっといかん。「紙のMDP存続委員会設立準備会(仮称・会員募集中)」代表としては、すぐそっちに話が行ってしまう。

 

 本題に戻る。

 開幕戦は他の試合よりも印象深いには違いないがバラツキはある。開幕戦というだけでなく、他の要素が入ってくれば脳裏に刻まれる度合いが強くなるだろう。

 たとえばミシャがレッズの監督になってすぐに広島とぶつけられた、―被害者みたいな言い方だな(笑)―2012年の記憶は、翌年も対戦「させられ」たことで、さらに脳のシワが深くなった。

 こんな感じで、その試合だけでなく、その後に起きたことと関係しているために、その試合の記憶がはっきりしているということもある。

 

 これも、その一つ。

 2シーズン連続で開幕アウェイ、第2節ホームの相手が同じで、勝敗も同じだったことがある。さて、いつでしょう。

 

そう、2009年と2010年だ。

山田のパス
山田とポンテ

 第1節=●鹿島(アウェイ)、第2節=○東京(ホーム)

 2年連続、同じ順番で、同じ相手と当たり、同じ結果だったことはよく覚えている。

 2009年は山田直輝や原口元気らのユース昇格組が、その年から指揮を執ったフィンケ監督に重用されたシーズンで、原口は開幕の鹿島戦に先発。直輝もベンチには入ったが出番はなかった。

 しかし直輝は東京戦で途中出場し、2-1とリードした後半38分にロブソン・ポンテが決めた3点目をアシストした。直輝は前年すでにJリーグデビューを済ませていたとはいえ、シュートフェイントで相手DF2人を引き付けて右のロビーにパスを出したシーン(=写真)などはベテランを思わせる小憎らしさを感じさせた。しかし、直後にロビーと共にゴール裏のサポーターに駆け寄ったところ(=写真)は、表情といい、ロビーのシャツを軽く握った手といい、18歳の少年そのものだった。1人では不安な子どもがお母さんのスカートを握っているようでもあった。

 そしてレッズはそこから9試合連続負けなし(7勝2分)で一時は首位にもなり、前半の17試合を2位で折り返す好調ぶりを見せた。後半大失速し最終的には6位で終わったが、シーズン前半は本当に快進撃と言ってよかった。だから、09年の開幕2試合はどちらもよく覚えている。

 

 

手を振る宇賀神
転倒する宇賀神

 その09年があるから、翌年の2試合も記憶に残りやすかったのだろう。前年との違いを見せたかった鹿島に負けた無念さ。そしてホームで東京に勝った。試合で覚えているのは宇賀神友弥が一人でスタンドに手を振りながら回っている場面だ(=写真)。前半、エリア内にドリブルで進入したところをF東京の森重真人に倒され(=写真)、そのPKをロビーが決めて1-0で勝った。この年のルーキーだったのだから、宇賀神をヒーローインタビューでつかまえるのは当然だ。

 この2シーズンは「開幕戦」の記憶、というよりは「ホーム開幕戦」の記憶と言った方がいい。

 

 今のFC東京は強い。

 ずっとレッズに勝てなかったジンクスも昨季2連勝して完全に払拭されたから自信を持って今季の開幕戦に乗り込んで来るだろう。

 正直言えば、まだ成長の初期段階にいるレッズが有利と見る向きは少ないだろう。

 だが絶対に勝つという思いはいつもと全く変わらない。期待を多めに含んだ思いではあるが、開幕前は常にそういう気持ちだ。

 新監督のサッカーを披露し、かつ勝利して、2021年の開幕戦を、深く記憶に刻み込む試合にしてほしい。

 

EXTRA

 昨日のYouTubeLIVEで「今季の初ゴールは誰が」と問われ、「汰木康也と杉本健勇」と答えた(「初」が2人というのは変だが、単勝複式ということで)。ただの勘ではなく、練習試合などを見てきて総合的に判断した結果だ。

 勝ってくれれば初得点者は外れてもいい。しかし伊藤敦樹か福島竜弥が点に絡んでくれれば、「アカデミー出身のルーキーが点に絡みシーズン初の埼スタで東京に勝つ」という形が11年ぶりに復活する。それも楽しみにしたい。

 

(文:清尾 淳)