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Weps うち明け話 #1070
17年ぶりの勝点(2021年3月1日)
「変わるもんですね」
2月27日(土)、J1リーグ開幕戦、浦和レッズ対FC東京戦のハーフタイム。知り合いのレッズ担当記者が話しかけてきた。
僕もそう思っていた。
選手同士の動きがよくかみ合い、ボールを保持しながらもあまり停滞することなくパスが回っていた。もちろん自陣だけではなく、前向きへのパスが多かった。
立ち上がり5分の杉本のゴールはオフサイドになったが、あれは一度は失ったボールを攻撃の陣形が残っているうちに奪い返したところから生まれたもので、クラブが目指している「即時奪回」が成功した場面は他にもあった。主導権を握って試合を進める、という部分も合わせて今季目指すサッカーを体現していたと思う。
それだけに勝ちたかった。
レッズもシュート自体が少なかったが、東京のシュートはもっと少なかった。無難にピンチを潰していたので最低でも1-0のままで、できれば終盤相手が反撃のギアをもう一段上げてきたところを狙って追加点を取って勝ちたかった。
勝点2を減らしたもったいなさももちろんあるが、選手たちのこれまでの努力が勝利という形で報われなかったことが残念だ。開幕戦の勝利はそういう重みがある。
これでリーグ開幕戦は通算で10勝5分け14敗となり、4つの負け越しは減らなかった。
ただ、こういう見方もある。
今季を含めて29回の開幕戦のうち、前期(途中就任も含めて)から継続して監督が指揮を執ったシーズンが17回、新監督が指揮を執ったシーズンは12回「も」ある(2007年のオジェックは新監督に含まず)。
まず継続監督の開幕戦は8勝3分け6敗だった。
対して新監督の開幕戦は昨年まで2勝1分け8敗。新監督がリーグ初陣に勝ったのは1998年の原博実監督、2000年の斉藤和夫監督、そして引き分けたのが04年のギド・ブッフバルト監督だ。98年の原さんは監督こそ初めてだったがレッズ誕生以来、ずっとコーチ(またはユースの監督)だったし、2000年はJ2リーグだった。
新監督になって勝ったJ1の開幕戦が1回だけ、というのは情けないこと甚だしいが、それだけ監督が替わったシーズンは開幕までにチームを作り上げるのが簡単ではないということなのだろう。浦和レッズでは。他は知らない。
そんな厳しいデータがある新監督の開幕戦で負けなかった。
浦和レッズで、新監督がJ1の開幕戦で勝点を取ったのは、2004年以来3度目というのは、もしかして土曜日の試合で最も評価できることなのかもしれない。
だが開幕戦はすでに過去。「昨季との変化」「新加入選手のポテンシャル」など、試合を見た人に期待を持たせることはできたが、それだけで長い期間は過ごせない。変化やポテンシャルを結果に結びつけること。そして、それを続けること。
明日のルヴァンカップ湘南戦と土曜日の鳥栖戦。アウェイの2試合でぜひ実行してほしい。
(文:清尾 淳)