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Weps うち明け話 #1071
過程の楽しさを結果の喜びに(2021年3月8日)
今年は「タラレバ」を一切言わない!
…などと宣言しなくて良かった。
3月2日(火)の湘南戦、後半アディショナルタイムの田中達也のシュート。6日(土)鳥栖戦は後半31分、杉本健勇のシュート。
どちらも「超」が付く決定的な場面で、この2つが決まっていたら…。
鳥栖戦についてはまだある。
後半17分の失点の場面、相手・本田のシュートを西川周作が弾いたとき、それと後半36分の失点のときは、山中亮輔が鳥栖・飯野ともつれて倒れたとき。どちらも相手より一瞬でも早くルーズボールに触っていれば…。
結果が変わっていたかもしれないのはもちろんだが、10日に行われる横浜FC戦までの3日間、気持ちのありようがずいぶん変わっていただろう。
東京戦と湘南戦の2試合を終えた段階で、何人かのサポーターとオンラインミーティングを行って、試合の感想を聞くことができた。
みなさん、ポジティブな印象を持ったようで、総じて、不安や課題も意識しつつ今後の成長が楽しみ、という評価だった。
そこに結果が加わることで、その好印象がさらに確たるものになっていくはずで、鳥栖戦はその機会だったのだ。
まずは、誰もが「良くなった」と認めるビルドアップからゴールを挙げること。
得点なら何でもうれしいことには違いないが、ビルドアップから狙いどおりの形でゴールが決まったときは、過程でワクワクドキドキを楽しみ、結果ではじける喜びがある。たとえばスパーリンクワインの栓を抜くときの、いくぞ、いくぞ…、ポン! というような。
鳥栖戦でも、楽しめる「過程」は何度もあった。前半、ビルドアップから汰木が左サイドを抜け出したシーンもそうだし、先ほど挙げた健勇のシュートの前に、汰木の折り返しが明本に合いそうだったシーンもそうだ。
スパーリンクワインのコルクを抜くプロセスのように何度もワクワクドキドキした。ただ抜けなかった。あるいは何の抵抗も音もなく抜けてしまった。そんな感じだ。
良い形は作れている。あとはフィニッシュ。
その言い方は間違っていない。0-2は完敗のスコアだが、鳥栖に手も足も出ず負けたわけではない。
しかし過程だけで楽しんでいられる時間はそう長く続かない。
次の横浜FC戦では、ぜひ過程を結果に結びつけて欲しい。
スパーリンクワインと言わず、シャンパンを、景気の良い音を立てて抜いて欲しい。
(文:清尾 淳)