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Weps うち明け話 #1076
今さらながら、強化体制(2021年4月2日)
昨日4月1日(木)、西野努テクニカルダイレクター(TD)のオンライン囲み取材があった。13時18分に「囲みやるよ」という発表があり16時15分から実施という慌ただしいもので、オンラインでなければあり得ない段取りだった。
この時期に、TDが会見するというのは、外国籍選手の話題以外にないだろうと思っていたら、案の定囲み取材直前の16時過ぎ、新外国籍FWキャスパー ユンカーを獲得したという発表があった。
ユンカー選手に関する詳しい情報を僕は持っていないし、囲み取材の内容はクラブのオフィシャルサイトに載っているので繰り返さない。
この囲み取材で、チーム強化に関するクラブの施策が少し前から変化してきたな、という印象をさらに強くした。
最近の例で言うと、今季大卒新人として伊藤敦樹と大久保智明が加入した。少し前には柴戸海と岩武克弥(現横浜FC)。来季は宮本優太と安居海渡の加入が内定していることを考えれば、大学からの新加入が活発になっている。
また昨季の武田英寿と今季の藤原優大。青森山田高からの新加入が2年続いた。
これまであまり多くなかった、レッズユース以外からの新人発掘に関して、明らかに変化が見られる。名前を挙げた彼らが中心選手へと育っていくかどうかはこれからだが、その予感はヒシヒシしている。
そして外国籍選手に関しても同様だ。
一時期、レッズが獲得するのは、他のJクラブで実績のある選手がほとんどだったが、その傾向が変わりつつあるように思う。
トーマス デンはリハビリ中だし、キャスパー ユンカーもまだ姿を見せていないが、今季の後半には活躍してくれるのではないかと期待している。
はっきり言って、駒場から埼スタにホームスタジアムを移行し、入場料収入増により年間予算がどんどん増えていったころと違って、クラブに金はないだろう。いろいろな経費を削りに削って強化資金に回しても余裕はないはずで、効果的な補強をしていかないといけない。だから「大物」には声が掛けられない代わりに、選手のプレーの特徴はもちろん、人柄までも細かく調査して間違いがない選手、かつレッズが追求するサッカーのコンセプトに合致した選手を獲得しているということだろう。
その成果はまだ出ているとは言いがたいが、昨年から新しくなった強化体制が顔ぶれだけでなく、施策も刷新していることは間違いない。
3年計画の、成績に関する目標はまだ達成にほど遠い状況だが、計画には当然補強のやり方も含まれているはずだから、それを見る限り、信念というか筋の通ったものを感じる。
西野TDの発言の中で、「あらっ」と思ったのは以下の部分だ。
「今シーズンに関しては時間が掛かると思っています。得点を取るためには得点を取る場所にボールを運ぶ、正確なボールを入れるということも併せて必要になってきます。そうした態勢が整ったときにはリーグのトップスコアラーになってくれる可能性がある選手だと思って獲得しています。ですので、今年に関しては少し時間が掛かると思っていますし、夏の補強もそういったところも踏まえてチームが仕上がっていく中で、来年はリーグの得点王を獲ってもらいたいと思っています。」
おいおい。開幕して公式戦8試合でセットプレーからの3得点しか挙げていないチームがFWを獲得したのだ。「1日も早くチームにフィットしてもらい、得点源として活躍してくれるよう期待している」と発言して何の問題もないはず。
それなのに強化担当者が「今年に関しては少し時間が掛かる」「来年はリーグの得点王を獲ってもらいたい」だと?
なに悠長なこと言ってんだ!
レッズはいま点が欲しいんだろうが!
とヤジが飛んでもおかしくない。
だが、耳当たりの良いことを言うのではなく、冷厳な目で見た判断を口にするところがかえって信頼できる。
そう言うと、西野びいきがすぎると思われるかもしれないが、どっちみち強化については信頼して任せるしかないのだ。
まずは、この新体制が獲得した新加入選手たちの、明日の鹿島戦での活躍に期待する。
(文:清尾 淳)