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Weps うち明け話 #1078

ウノゼロの修飾語は(2021年4月13日)

 

 あれ? エルゴラって月水金じゃなかったっけ。

 あ、きょうは休刊日か。

 宅配で購読しているけど、そんなに毎朝届くのを楽しみにしているわけでもない(失礼)。どちらかと言うと、朝エル・ゴラッソが来ているのを見て、きょうが何曜日か認識するという日々だ。

 

 しかし4月12日(月)は少しエルゴラが気になっていた。

 浦和レッズが日曜日に勝ったからではない。たしかにレッズが勝ったときと負けたときでは新聞をめくる力の入り具合が違うが(そんなに力いらんて)、今回はそうではない。気になったのはレッズ対徳島戦の記事にどういう見出しがついているか、だ。

 

 11日(日)の試合も終盤に近付いたとき…、いや違うな。終盤は、とにかく失点しないようにとだけ願っていたので、他のことを考えているヒマがなかった。試合が終わってホッとしながらピッチを見ていたとき、明日(12日)のエルゴラの見出しは「内容の濃いウノゼロ」かな、いや「白熱のウノゼロ」「伯仲のウノゼロ」…、「次が楽しみなウノゼロ」かもしれない。徳島側から見れば「リベンジを誓うウノゼロ」か。

 エルゴラの見出しに「ウノゼロ」は多いが、11日の浦和-徳島戦は1-0というスコアが本当に妥当だったと思うし、そのスコアが試合の内容を物語っていると思った。

「ウノゼロ」を使うにふさわしい試合だったから、その修飾語がどうなるかいろいろと想像しながら、選手たちが場内一周するのを見ていた。

 

 一つは中盤での互角の奪い合い。取られたかと思うと取り返し、奪ったと思うと奪われる。パスカットの応酬だった。

 また前半は徳島ペース、後半は浦和ペースと、主導権を握った時間帯はほぼ互角ではなかったか、と思う。

 戦術が似ている部分も多かったが、だいぶ違うな、と思ったのはレッズが前線からのプレスを最後まで続け、相手に攻撃のスイッチを入れさせないようにしていたこと。一方、徳島はビルドアップに苦しんでいるように見えて、ときどき後方から前線へ一直線にパスを通していた。これはお互いにやっていなかったことだ。

 カウントされたシュートはレッズが5本、徳島が8本。スコアはウノゼロ。数字だけを見れば凡戦かと思われそうだが、現地で見た者としてはどちらに転んでもおかしくない白熱した試合で、目が離せない90分だった。

 

 言うまでもなく、徳島は4年間リカルド監督が指揮を執り7年ぶりにJ1昇格を果たしたチーム。指揮官が替わったとは言え、昨季までやっていたサッカーと大きく変わったとは思えない。メディアがよく表現していたが戦術的には“先輩”だ。

 戦った相手から学ぶ、というのも悔しい気がしないでもないが、ピッチで実体験した選手にとってはかなり有効なのだと思う。昨季まで徳島と対戦したことがある明本考浩、小泉佳穂、田中達也らは異口同音に「あのサッカーを続ければ強くなる」と語っている。

 

 そういう点では繰り返しになるが、徳島が何度も見せたピッチのど真ん中をグラウンダーもしくはライナーでぶち抜く縦パスには驚かされた。

 途中には両チームの選手が何人もいるが、誰にも当たらずバイタルエリアの選手に届いていた。レッズがしっかり寄せていたので、そこから失点することはなかったが、危ないシーンもあった。

 どういうときにあのプレーができるのかは専門家におまかせして(僕に聞かないで)、これがリカルドサッカーの特長ならば早く身に付けたいものだ。フィニッシュまでの連係に磨きがかかれば、ゴールに直結することも可能だろう。たとえばポスト役に興梠がいて、そこからワンタッチで他の選手を経由し、ゴール前にラストパスが出る…。考えただけでもワクワクしないか。

 

 1チームだけを意識するわけではないが、8月21日に予定されている徳島との第25節は、レッズの成長度を測るものになるだろう。しかも通常より濃い、アウェイ色いっぱいの環境での試合だ。

 完封負けした鳥栖、横浜FM、川崎との再戦も楽しみなのだが、それとは別の意味でカレンダーに印を付けておくべき試合だろう。

 

 さて、エルゴラ届いている時間だから、取りに行こう。

 でも先に原稿を送ってからだ。

 

(文:清尾 淳)