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Weps うち明け話 #1081

収穫(2021年5月6日)

 

 アディショナルタイムに2ゴールというのはいつ以来だったか。

 レッズのファン・サポーターはみんな、記憶をたどったに違いない。僕もたどったけど、たどり着けなかった。

 探し方が不十分なのか、そもそも存在しないのか。「アディショナルタイムのゴール」をキーワードにして頭の中で検索をかけると、ロスタイムに2点入れられて、逆転負けした記憶ばかりよみがえってくるので止めた(詳細は秘す)。

 

 昨日(5月5日)のルヴァンカップ柏戦。

 ドローのときに、勝点1を奪ったのか勝点2を失ったのか、と二者択一で言いたがる人がいるが、ほとんどの試合は両方の側面があるし事実として「勝点1しか取れなかった」ことは変わらない。

 ただ、最後に追い付いた側がまずは少しホッすることは間違いない。

 そして逆転できなかったこと、ビハインドになってしまったことを反省する。特に柏戦は1-0から追い付かれた後に、少しバタバタしてしまったのがいただけなかった。

 

 このところ、先制して追い付かれても再度勝ち越したり、逆転されても再逆転したりとメンタル的に強くなってきたのかな、と思っていたのだがアウェイでは、それが発揮されないのか、なんてことを考えていたところだった。

 相手のシュートが味方に当たってコースが変わり失点というのが2回あった。不運は不運だが、その不運を招かないようにもできたのではなかったかと、生放送でなければ巻き戻して確認したいほどだった。

 

 だが2点のビハインドに追い付いた。

 追い付いたことももちろん成果だが、その2点自体が収穫だったのではないか。

 同点ゴールは、柏の選手たちがセルフジャッジでプレーを一瞬止めてしまったことから、小泉のパスを受けた関根がフリーで抜け出せたものだ。この主審は、きつめに当たって相手が倒れてもファウルを取らないな、と思っていたら後半は取り始めた。柏の選手たちは、それに惑わされたのかもしれない。だが、同じような場面で最後のシュートがGKにセーブされたり、枠を外したりということが今季は何度かあっただけに、見事にGKの手にもゴールポストにも阻まれずに決まったときは、思わず声が出た(テレビの前です。念のため)。

 

 その前の伊藤敦樹のゴールも、CKを槙野が頭で折り返したのを興梠がやはり頭で丁寧に落とし、敦樹がボレーで決めた。2点差と終了間際ということに緩んだのか、柏の選手たちがボールウォッチャーになってくれていたのも幸いしたと思うが、最後のシュートの振りは非常に素早く、かつ正確だった。

 

 点が必要なときに点が取れた。

 だったら、点が取れそうなときにも点を取れるはずだ。

 いまの浦和レッズに必要なプレーが土壇場で出た。これが収穫だったと思う。

 

 一つの試合でできたことが次の試合でもできるとは限らないが、一度もできていないことを初めてやるのは難しい。

 4月21日(水)、アウェイのルヴァンカップ横浜FC戦の結果は、次のリーグ大分戦に生きたと言ってよかっただろう。

 今回の最後まであきらめない姿勢と、決めるべきときに決めるプレーを、次の仙台戦に生かしてくれれば、柏戦での収穫が大きな意味を持つ。

 

(文:清尾 淳)