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Weps うち明け話 #1089

すごく強い?(2021年6月7日)

 

 久しぶりなんじゃないか?

 

 6月6日(日)、ルヴァンカッププレーオフステージ第1戦。ヴィッセル神戸との試合が終わって、何となくそう感じた。

 何かというと、第1戦をアウェイで勝ってホームに帰って行く、という状況が、だ。

 

 そういう感覚を抱いたときはだいたい当たる。調べてみたら、第1戦をアウェイで勝ったのは2016年以来だった。なんだ優勝した年じゃないか。

 あ、しかも相手は神戸だったか。スコアも同じ2-1という偶然だった。リーグで戦ってからあまり間をあけずにカップ戦でも当たった、というのも似ているが、もちろん異なる部分も多い。

 

 2016年はルヴァンカップで対戦する直前、4日前の8月27日(土)にノエスタで当たり、レッズが1-2で負けている。むしろ敗れたリーグ戦がカップ戦で勝てた要因の一つだった気がする。あのときのリーグ戦は0-2から後半ズラタンが1点返し、追い上げムードの中で終わった。そのムードのまま同じノエスタで31日(水)、ルヴァンの準々決勝を戦い、2-1で第1戦をモノにした。ちなみにホームの第2戦は9月4日(日)で、4-0の大勝。これで弾みがついた感じで、レッズはそのシーズンから大会名が新しくなったYBCルヴァンカップ初優勝を果たしたのだった。

 

 今回は、ちょっと前にリーグ戦があったといってもホームだったし間に2試合を挟んだ2週間前だったから、そこは違う。結果が2-0でレッズの勝利だったことも真逆の違いだ。

 だが今回も、5月22日(土)のリーグ戦がカップ戦勝利の背景だったのではないかと思う。

 昨日の試合、開始3分という早い時間に失点したことも良くなかったが、前半はビルドアップに苦しんだ45分だった。ハーフウェイライン付近のサイドバックまでボールが出ては、またDFラインに戻る「コの字」パス回しが続いていた。良くない展開ではあったが、選手たちに焦れた感じはなかった。僕も見ていて、焦れる必要はないな、と思っていた。

 

 なぜならリーグの神戸戦も前半は相手に主導権を握られていたからだ。前半の飲水タイムまでは完全に神戸ペース。飲水タイム後はレッズが攻める場面も出てきたが、ペースをつかんだかな、と思えたのは前半のラスト10分ぐらいだった。

 その経験があるから、立ち上がりが良くなくても飲水タイム後が、あるいは前半ずっと良くなくてもハーフタイム後が、という気持ちで見ていられた。下手に焦った攻撃をして悪い形で奪われる方が嫌だった。

 

 そして逆転勝ちした。リーグ戦のときほど、後半ほとんど主導権を取れた試合ではなかったが、アウェイで結果だけを持って帰るという勝ち方は十分にアリだし、決勝点になった興梠のゴールは、相手のミスからだが、その前までの前プレスがボディーブローのように効いていたのではないかと思う。自分に向かってくる興梠の姿が目に入ったことで、神戸の菊池選手に変な力が入ってしまい、滑ったように見えた。

 まあチャンスのでき方はともかく、あの展開からしっかり決められるのは、間違いなく興梠のクオリティーの高さがあったからだろうし、いかに神戸が攻めていようがセットプレーの1点しか与えなかったのは事実だ。5年ぶりにアウェイの第1戦で勝利しホームに帰ることになった。

 

 たしか興梠は「第2戦を戦うメンタルとしては、第1戦引き分けか1点差の負けぐらいがちょうど良い」と言っていたように思うが、メンタル的な緩みの原因にならなければ、有利な方が良いに決まっている。

 それに今回の勝利は、今季のレッズが身に付けつつある、どんな展開でも自分たちを見失わない、という強さがアウェイでも発揮された、という発見があったことが一番良かったと思う。

 

 まだまだ「すごく強い」とは言えないレッズだが、もしかして精神的にはすごく強くなってきているのだろうか。

 

(文:清尾 淳)