1. TOP
  2. Weps うち明け話

Weps うち明け話 #1092

注目した点(2021年6月24日)

 

 昨日6月23日(水)の柏レイソル戦は試合前に、今日は注目点が4つあるな、と思った。

 それぞれのポイントに沿って見ていきたい。

 

 などと、落ち着いて言っていられるのも勝ったからだが、まずその部分。勝つか引き分け以下でイメージが大きく違っていた、ということについて見てみよう。

 前節、湘南ベルマーレ戦の前まで「公式戦10試合負けなし」「4月以降は18戦して2敗だけ」という状況だった。湘南戦で連続無敗は止まったが「4月以降19戦して3敗だけ」というのは、あまり色褪せていないように思える。

 だが直近のリーグ戦で考えると広島戦、名古屋戦、湘南戦と3試合勝ちがなかった。2分け1敗だから最悪ではないが、柏戦で勝てないと4試合勝ちなしとなり、ちょっと前に比べて失速傾向のように見えてしまう。実際のチーム状況は違っても「4試合勝ちなし」という状況は良くないイメージだ。それを払拭するには、昨日の勝利だけではなく、ここから連勝し上昇傾向に戻して中断を迎えることが必要だが、その第一歩が踏み出せた。

 

 次の注目点は選手個々のことだった。

湘南戦から先発が9人替わった。GKについては、彩艶がクラブの不手際のため出られなかったということなので(https://www.urawa-reds.co.jp/static/info/176191.html)、リカルド監督が意識して替えたのか必然的に周作になったのかはわからないが、先発9人交代というのは3連戦の2試合目ということで、明確なターンオーバーだ。

 とはいえ、「開幕戦→ルヴァンカップ初戦」のようなターンオーバーとはだいぶ違う。全員が公式戦で実績十分の選手たちであり、先発9人を替えても「メンバーを落とした」という言い方が当てはまらないのが今季のレッズの強みだ。約4か月かけてそういう集団を作ってきたといえる。

 

 では選手の何に注目していたのか。

 今季、すべてのポジションで出場争いが激しくなっている。最も層が薄いと思われたセンターバックも、トーマス・デンがケガから復帰し、さらには8月からアレクサンダー・ショルツがそこに加わり、ますます誰が出るかわからなくなるだろう。

 他のGK、左右のサイドバック、ボランチ、左右のサイドハーフ、トップ下、1トップ(4-2-3-1として)というポジションを思い浮かべたときも、容易に複数の候補者が挙がる。

 このところ、ポジション争いのライバル選手にリーグ戦でのファーストチョイスの座を奪われている選手にとっては、昨日の柏戦は自分の力を示す絶好の機会だった。

 それが成功したか不完全燃焼に終わったかは選手によって違うが、リカルド監督の閻魔帳(ふるっ!)には何かが書き込まれただろう。

 

 3つ目の注目点は「キャスパー頼み」と言われている得点力のことだった。

 彼が加入して以降、湘南戦までの公式戦11試合でのチーム総得点は21点で、そのうちキャスゴールは半分近くの10点だ。

 湘南戦の前にこの話をしたとき、小泉佳穂は「そう言われるのは悔しいですけど、現状、彼がたくさん取っているのは事実です。もちろん、彼が決めるだけという状況を周りが作っているというのもあります。彼がもっとマークされて取れない状況になるかもしれないし、彼が出ない試合もあるかもしれません。だから周りの選手も取れるぞ、というところを見せていかないといけないです」と語っていた。

 僕も、何から何までキャスパーがやっているわけではなく、チーム全体でビルドアップとチャンスメークをし、最後の仕上げをキャスパーがしていると思っている。その決定力が他のFWを上回っていることは事実で、得点になる確率が高い選手の出場時間が長くなるのも、エリアの中でその選手にパスを集めるのも当然のことだから、「キャスパー頼み」は「FW頼み」とほぼ同じ意味であり、別に悔しくはない。

 

 だが、キャスパーがいない試合、いない時間帯に点が取れなければ「キャスパー頼み」という言葉が、揶揄の響きを持ったものに聞こえてしまう。

 だから柏戦の先発メンバーを見て、できれば前半、少なくともキャスパーが投入される前に点を取ってくれれば、と考えていた。

 残念ながら後半の立ち上がりまでに4回、見方によっては5回、決定機があったが取れなかった。一方、キャスパーが入った後半16分以降に宇賀神友弥と柴戸海が点を取り快勝という結果になったが、キャスパー自身は点に絡んでおらず、決定機を逃す場面もあった。

 う~ん、どうなんだろう。「キャスパー頼み」の要素が濃くなったわけではないし、前半から流れの中で決定機を何度か作っていたことが、後方から入って来た選手がこぼれ球に反応して決める、というゴールを生んだのかもしれない。

 しかし注目点である、キャスパーがいない時間帯に点を取ることはできなかった。

 

 注目点はすべての試合にあるし、それが全部期待した方、良い方に転がるとは限らない。

 だがレッズが勝つこと以外に注目ポイントを持って見ると、試合がさらに面白くなる。

 試合の前に、そんな注目点を考えること自体「とにかく何とか勝ってくれ!」と祈っていた時期に比べると、チームが安定してきた証拠なのかもしれない。

 

EXTRA

 あれ、4つだろ?

 そう。もう一つ注目点があったが本筋とは関係ないので、EXTRAにした。

 それは柏のリザーブに戸嶋祥郎が入っていたこと。

 去年の9月に試合で大ケガを負い、9か月のリハビリを経て戻ってきた。そして後半29分に投入された。

 プロとしての戸嶋のプレーは何試合かしか見ていないが、ヘアースタイルとユニフォームをパンツの中に入れた様子で彼だとわかる。まだ本調子ではないだろうが、アグレッシブにボールを奪いに行く場面もあった。

 困るんだよなあ。

 戻ってきてくれて本当にうれしいし、これからも活躍して欲しいが、レッズ戦ではおとなしくしていてくれ。そんな思いだった。特に前節、直輝と拓也に結果を出されたばかりだし。

 でも、何はともあれ、サチ、復帰おめでとう。


(文:清尾 淳)